ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
文法を理解することで、英語学習の世界を色鮮やかに。ビビッド英文法シリーズの今回は過去形と現在完了形に関してです。
現在完了という文法は中学校で習うものですが、結局過去と何が違うのか?という点がなかなか理解しにくいですよね。
「現在完了形は日本語にはないから・・・」
こんなことも言われますが、本当でしょうか?
それに、仮に過去形との違いが分かったとしても、いざ英語を使うとなったときに、結局どっちを使おうか迷ってしまいますよね。
この記事を読んで、現在完了が何を意味しているのか、その本質をビビッドに理解しましょう!
目次
例文で見る現在完了形
まずはよく言われる現在完了の3つの用法を例文とともに見てみましょう。それぞれの文が表している意味を感じることができるでしょうか。
使い方① 継続用法
How long have you practiced Judo?
– Since I was at junior high school.
どのくらい柔道を練習してるんですか?
– 中学の時からです。
継続用法は、文字通り過去から今まで継続していることを意味します。
上の例文であれば、柔道を始めたのは中学生の時で、そのときから今まで継続しているという意味です。
継続用法では、『~以来』という意味でsinceを使ったり、期間を表すforを使うことが多いです。
使い方② 経験用法
Have you ever been to Hokkaido?
– Yeah, I’ve been there twice. I was travelling around Hokkaido by motorbike when I was 26.
北海道に行ったことがありますか?
– ええ、2回行ったことがあります。26歳のときバイクで北海道一周をしていました。
経験用法も、その名の通り経験を表すもので、『~したことがある』という意味でよく理解されます。あえて日本語にはあまり訳しませんが、『今まで生きてきた中で』という意味を含むeverを使ったり、否定文であればneverをよく使います。
使い方③ 完了用法
Somebody has stolen my credit card! I can’t buy anything.
誰かが私のクレジット-カードを盗んだのよ!何も買えないじゃない。
Your order has already arrived at our website.
ご注文はちょうどウェブサイトに届いたところです。
完了用法は、『~してしまった』や『~したところだ』を意味します。
この用法では、『ちょうど』を表すjustや、『もう/まだ』を表すalreadyやyetがよく一緒に使われます。
現在完了の成り立ちを探ってみる
ここでは、現在完了が表す意味をしっかり理解できるように、成り立ちを考えてみましょう。
昔の英語では、【have + 目的語 + 過去分詞】という形を使っていたそうです。
例えば、I have a letter written. こんな書き方ですね。日本語にするなら、「手紙が書き終えられた状態で存在している/持っている」という意味です。
いろいろ歴史的な変化をたどり、今の【have + 過去分詞】という形になったようですが、この語源を知ると、何となくピンとくる方もいるかもしれません。
※使役動詞「~してもらう」のhaveとは別物だと思ってくださいね。
現在完了という文法は、過去のある時点から今までの間に、何かがあった/なかったとかを表すものです。つまり、過去と今をつなぐ。そんなイメージです。
逆に言えば、過去だけの話をしたいなら過去形が適切ですし、今の話だけをしたいなら現在形、現在進行形のほうが適切です。
現在完了が持つ本質的な意味と3つの用法
過去と今をつなぐという本質をつかんでしまえば、継続、経験、完了とかいう用法はあまり関係ありません。
これを踏まえて、先ほどの例文を見てみると、過去と今のつながりが感じられませんか?
【継続用法】
How long have you practiced Judo?
– Since I was at junior high school.
⇒ 柔道の練習を開始した時点は中学校のときで、今も練習を続けている
【経験用法】
Have you ever been to Hokkaido?
– Yeah, I’ve been there twice. I was travelling around Hokkaido by motorbike when I was 26.
⇒ (生まれてから)今までに
※ when I was 26 は26歳の時の話なので、この文では現在完了は使えません。
【完了用法】
Somebody has stolen my credit card! I can’t buy anything.
⇒ クレジットカードが盗まれて、今もまだ見つかっていない。
Your order has already arrived at our website.
⇒ オンラインでの注文が届き、それは今もウェブサイト上で管理できている。
特に完了用法に関しては、今の視点が入っているという点で、過去形とは明確な違いが生まれています。
過去形と現在完了形の使いわけ
ここでは、過去形との使い分けについて考えてみましょう。
前提として、過去形と現在完了形を二者択一で考えず、それぞれの意味の違いを理解したうえで、場面に応じてbetterな方を選べるようになりましょう。
【場面①】現在完了形 VS 過去形
- Have you ever met her?
- Did you ever meet her?
2つの文を比較してみましょう。
それぞれ表す意味の違いがわかるでしょうか?
❶の現在完了の文は単純に今までの経験を聞いているものです。ですが、❷の過去形の文はそれがないので、『今は会えない/会わない』という意味が含まれます。なので、彼女はすでに亡くなってしまったとか、何かが起こってもう会う機会がなくなったというニュアンスが出ます。
どちらの文も英語としては正しいですが、結局話し手がどんな表現をしたいかがポイントです。
もう少し違いが顕著に出る例を見てみましょう。
【場面②】現在完了形 VS 過去形
- They have had many problems in their marriage.
- They had many problems in their marriage.
❶の現在完了の文では、今も彼らは結婚しているでしょうか?
すぐに分かった方、現在完了が表す意味のニュアンスがしっかり理解できていますね。
では、❷の過去形のほうはどうでしょうか?
今は離婚してしまったかもしれないし、結婚は続いているけど、問題はもうなくなったのかもしれない。いずれにしても、あえて過去形にしているので、問題がある結婚は今はないということがわかりますね。
ハッピーエンドであればいいですが・・・(笑)
日本語に現在完了はない!?
私が学生のとき、学校では日本語に現在完了形はないと説明されましたが、本当でしょうか。
確かに英語のように、動詞の形として現在完了を表す方法は日本語にありません。ですが、意味としての現在完了は存在していると思います。日本語教師をやって初めてわかったことです。(笑)
お昼休み後の場面で、皆さんならなんと答えるでしょうか。
お昼ご飯食べた?
– いいえ。( )。仕事が終わらなくて・・・。
おそらくこの場面では、「まだ食べていません」と言うと思います。
たぶん「食べませんでした」と過去形で答える人は、日常的にお昼ご飯を食べない人以外はいないはずです。
ではこの場面が夕方の4時ぐらいだとどうでしょう?
「まだ食べていません」と言う人もいるかもしれませんが、「食べませんでした」になる人もいそうですね。
この違いはどうして生まれるのでしょうか。
午後2時くらいまでであれば、『お昼ごはん』が自分にとって今の時間に入っている感じがしませんか?それに対して、夕方になると『お昼ごはん』が時間的に今から離れて、過去の出来事に変わります。
そうなると、今とつながる現在完了を使うのは不自然なので、ただの過去形を使います。
もちろん普段からお昼ご飯を食べるのが遅い時間の方にとっては、夕方4時でも現在完了は使えそうですね!
実は日本語でも、場面に応じて現在完了を使っているということですね。
まとめ
現在完了は過去と今をつなぐもの。このイメージが理解できたでしょうか?
3つの用法の言葉を覚えることも大切ですが、核となるイメージをつかんでしまえば、どの用法も理解できると思います。
現在完了の本質が理解できた今のビビッドな状態で、ぜひYouTubeなどでリアルな英語に触れてみてください。たくさん現在完了の文に出会い、今までとは違った視点で捉えられるはずです。
他にもビビッド英文法シリーズはたくさん記事があるので、読んでみてくださいね。