大人のためのやり直し英語【単語暗記】

この記事はこんな方におススメ
  • これから英語をやり直したいと思っている大人の方
  • 単語暗記の効率的な進め方を知りたい方

ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。

「英語学習をやり直したいけど・・・」

「学生時代と比べて物覚えも悪くなってきたし・・・」

こんなお悩み、ありませんか?
今回の記事はこれから英語学習をやり直したいと思っている、あるいはすでにやり直しているけど行き詰っている大人の方に向けて、単語暗記のヒントになるようなポイントを紹介していきます。

暗記と聞いてココロオドル人はいないかもしれませんが、英語学習において避けられない道です。それに対して大人としての向き合い方、覚え方の工夫を科学的な観点も交えてお伝えします。

ちなみに以前に別記事で、大人の武器として『メタ認知』を生かせ!という内容を共有しました。大人の英語学習者だからこそできる工夫、ぜひ参考にしてくださいね。

人間は忘れる生き物である

いきなり哲学的な内容ですみません。(笑)
人間は時間が経てばある一定忘れていく生き物です。もちろん英単語に限らず、日本語の言葉や思い出も。そうしなければ、脳のキャパシティが溢れてしまいますので、生きていくために忘れることは必要なんです。
周知の事実かもしれませんが、改めてこれを単語暗記に当てはめて考えてみましょう。

毎日単語の勉強をしているけど、なかなか覚えられず、結局次の日にはすべて忘れてしまっています・・・。

一度見ただけで、単語すべてを覚えることは残念ながらできません。
対策をしなければ、一定の時間が経つごとに忘れていってしまいます。よくここで例に出るのがエビングハウスという心理学者による忘却曲線というものです。有名な研究なので、耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、少し誤解されている内容もあるので、ちょっと内容を補足しながら暗記の前提条件として確認しましょう。

エビングハウスの忘却曲線(Forgetting curve)とは時間変化に伴う記憶の変化を研究したもの。グラフの横軸は、最初の暗記からどれくらい時間が経過したか、縦軸はその際暗記作業に再度取り組んだ場合の節約率である。
ある一定時間が経った後、覚え直すのにかかった時間が短ければ、それだけ1回目のときより覚える労力(時間)が節約できたということになる。つまり、節約率は高ければ高いほど、覚え直すのにかかった労力は少なかった、つまりコスパよく覚えられたということである。

出典:Wikipedia

記憶のメカニズムに関しては他にも様々な研究がされていますが、ここでわかる結論はとてもシンプルなものです。それは、度暗記してから時間が経てば経つほど、暗記し直すのに時間がかかってしまうということ。つまり節約率でみたらコスパが悪い。
そこで、単語暗記の鉄則は、単語に触れ、思い出す頻度を増やすことにあります。

エビングハウスの実験のデータとは前提条件がいろいろ異なりますので、この結果をまるっとそのまま参考にはできません。ですが、今までサポートしてきた500人を超える英語学習者の方のデータも踏まえると、以下のような計画を立てるといいと思います。

  1. 1回目の暗記(15分から20分程度)※集中力が持つ時間を区切りとする
  2. 2回目の暗記(1回目の暗記から30分から1時間経過したあと)
  3. 3回目の暗記(2回目の暗記から2~3時間経過したと)
  4. 4回目の暗記(1日の終わりの寝る前など)
  5. 5回目の暗記(翌日)

基本的に暗記は作業なんです。
例えば1時間くらいがっつり時間をかけて覚えても、復習をせずに時間が経てば結局忘れてしまいます。なので、一回の暗記に取り組む時間は15分程度でもいいので、淡々と集中して取り組むこと。そしてそれを複数回にわたって間隔を開けすぎずに取り組むことがコスパの観点から大切なのです。

この計画に厳密に従うことが大切ではなく、キーワードは反復です。そして、取り組むタイミングは「あれ、なんだったっけ?」となりつつあるタイミングです。この思い出す作業(想起と言います)が暗記を確実なものにしてくれるのです。

大人の武器で暗記をスムーズに!

なんでも暗記できてしまう秘密道具は残念ながら・・・ありません。
しかし、頻度をあげてひたすら単語帳を見て覚えていくことに加えて、暗記を効率化させるための工夫はあります。ちなみに補足ですが、そもそもエビングハウスの忘却曲線は、意味がない音節の暗記を取り上げています。

私たちは意味がないものをただ暗記するということはありませんよね。単語暗記をするうえで、当然ながら単語には意味があります。また、その単語に対して私たち自身で暗記のヒントを作り出すこともできます。
そんな今この瞬間からできる工夫を紹介します。

関連性を持たせて覚える

人間は記憶の際に、すでに知っている何かと関連させたり、結びつけることで暗記の促進ができます。これを有意味学習と言います。その反対は機械的学習で、いわゆるただの丸暗記ですね。
どちらのほうが暗記を効率よく進められるかというと、言うまでもなく前者です。有意味学習とは暗記をより深く強いものにするために、すでに知っている知識と絡める。そんなイメージです。いくつか方法を紹介しますね。

イラストや画像を使う

イメージがあると、暗記するうえで記憶の手がかりとすることができます。しかし、一つ一つ単語を画像検索で調べていくと、途方もない時間がかかってしまいます。そこで、ぜひアプリを使いましょう。以前も紹介したことがありますが、Quizletというアプリでは単語暗記の際に画像も自動で登録できます。ときどき変な画像も出てきますが、それはそれでまた一つにインパクトになり、覚えやすくなりますよ。(笑)

Quizletのサンプル画面

音声の使用

音声を聞くことで音が頭の中に残るため、暗記につながるきっかけの一つとなります。
単語帳を使うと想定すると、基本的にすべての単語帳には音源がついていますよね。例えばTOEIC対策でお馴染みの『キクタン』シリーズでは、音源は英語⇒日本語⇒英語で発音されます。リズム感も相まって、暗記につながる要素となり、ただ眺めるだけよりも効率よく暗記ができます。
私もTOEICの勉強をしていたときに全レベルを使い倒したので、キクタンTOEICシリーズの軽快なリズムとナレーターの女性の方の声は今でも覚えています(笑)。

単語のロジックを考える

始めてのデートや楽しかった思い出など、色褪せない記憶ってありませんか?
印象に残れば残るほど、いろいろな意味で忘れられない思い出になります。皆さんも心当たりがありますよね。

単語暗記にあてはめると、どれだけ自分の感情にインパクトを与えられるかがポイントになります。ただ単語の意味を暗記していくだけでは、インパクトになりませんよね。
そこで、インパクトを作るべく、単語のロジック(理屈)を考えてみましょう。ロジックにより、単語の意味に納得感を作ることができ、結果的に覚えやすくなります。
ちなみにここでいうロジックには2通りありますので、紹介しますね。

語源で理解する

英単語の語源を見ていくと、「なるほど!」と思えるものがいくつもあります。例えば、以下の成り立ちが似たような単語を比較してみましょう。

  • respect(re; 振り返って、spect; 見る)⇒尊敬する
  • inspect(in; 中を、spect; 見る)⇒調査する
  • expect(ex; 外を、spect; 見る)⇒期待する

シンプルな例ですが、単語によってはこのように分解して考えられるものもたくさんあります。ググると語源の説明は無限に出てきますが、ここで自分なりの理由でもいいので納得感を作りましょう。

例えば、respectであれば、振り返って見てしまうくらいすごい!という意味から、『尊敬する』につなげることができそうです。
expectなら現状の目の前のものではなく、その外の部分に目を向けている状態。つまり何かを期待していると考えると、多少なりとも単語の意味に納得感が持てませんか?

極論ですが、このような理屈が必ず事実に基づいている必要があるかというと、そうでもありません。あくまで自分の中の納得感が大切で、それが暗記をより強く、忘れにくいものにしてくれます。

ちなみにre-やin-のように単語の前についているものは接頭辞といいます。日本語の漢字で言えば、部首みたいなものです。これ自体に意味があるので、単語全体の意味を想像するうえで、大きなヒントになります。

また、単語の終わりの形(接尾辞)もヒントになります。
例えば、informとinformationを見てみましょう。

  • inform; 知らせる(in-; 中に、form; 形作る)
  • information; 情報(informの名詞形)

informationの-tionは名詞という品詞を表すサインです。他にもsuggestionやconclusionなども同じ形なので、仮に意味がわからなくても、名詞だと判断できるわけですね。これの素晴らしい点は2点あります。

1つ目はTOEICの問題において、この品詞がわかるだけで正解のヒントになるような問題が5問から6問くらいはあることです。なので、スコアに直結するという知識です。
とは言ったものの、TOEICを勉強していない方もいますので、どちらかというと次の理由のほうが大切です。

それは、メインの軸となる動詞の意味を覚えてしまえば、他の品詞に変化した言葉(派生語と言います)も覚えやすくなるということです。
例えば、informの派生語として、informativeやinformantなどの単語があります。informから想像して、これらもなんとなく意味が想像できませんか?ここで意味の確認はあえてしませんので、気になったらぜひ自分で調べてみてください。必ず「なるほど!」と思えるはずです。
いずれにしても、軸となる1単語を覚えてしまえば、派生語もおのずと覚えやすくなる。これは単語暗記において大きなメリットです。

日本語との関連性で理解する

「次のミーティングでは、サステナブルなソリューションをアジェンダに加えましょう。」

和製英語は正直当てにならないものもたくさんありますが、ヒントになるときもあります。
例えばビジネス場面では、アジェンダ(agenda)やエビデンス(evidence)、他にも最近はコロナの影響でクラスター(cluster)やソーシャルディスタンス(social distancing)などもあります。これらは必ずしも英語と同じ意味で使われているとは限りませんので、注意は必要です。

ですが、英語の意味と大体ズレることなく使っているものに関しては、暗記の大きなヒントになります。発音やアクセントに違いはあれど、0⇒1で覚える必要はなく、すでにある0.5に追加で0.5を足せば良いのです。それだけで単語暗記の効率化は進みますし、何より単調な暗記作業に変化を加えることもできますね。

日本語化している英語の例(ビジネス場面)
  • アライアンス(alliance; 同盟、提携)
  • コミット(commitment; 約束、保証)
  • コンプライアンス(compliance; 法令順守)
  • リスケ(reschedule; 再調整)
  • ソリューション(solution; 解決)

むしろ、日本語でこれらのカタカナ英語の多用は避けたほうが良い気が・・・。
というのも、カタカナ英語はかっこいい雰囲気!?はありますが、結果的に使っている方々が正しく意味を認識できていない可能性もあるからです。そんな状態をミスコミュニケーション(miscommunication; 誤解)と言いますが、皆さんは正しく使えているでしょうか。
こう見ると、カタカナ英語なくして会話するのはほぼ不可能になっていることもビックリですが。

まとめ

単語暗記に関して、記憶のメカニズムや暗記の工夫は参考になったでしょうか。
大人だからこそできる工夫でもありますね。

「どうすれば単語を効率よく覚えられますか?」

こんな質問を英語を勉強している方に通算800回くらいされたことがあるので、あえて記事にしてみました。
本記事でお伝えしたような内容は間違いなく暗記を加速させるものですし、大人だからこそ持てる視点なので、ぜひ活用してほしいです。

その一方で、ある程度時間をかけ、工夫を重ねながらも愚直に反復していくこともやはり必要です。単語暗記に魔法はなく、あるのはちょっとの工夫と大部分の努力だけ、というなんだか根性論みたいな話も結局しています。特にTOEFLなどのアカデミックな単語は、そもそも自分の専門分野でもないので、非常に覚えにくいですよね。
それでも、少しでも皆さんの単語暗記の手助けになれば幸いです。
ではまた次回の記事をお楽しみに。