ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
今回は、今まであまり取り上げてこなかったライティングに関する話です。
オンライン英会話を中心に、練習環境が豊富にある英会話と比較して、ライティングはどうでしょうか。
「そもそも、ライティングの練習方法がわからない・・・」
そんな方もたくさんいるはずです。
そこでこの記事では、イギリスの大学院で修士論文もすべて英語で書いた私が、ライティングを練習するメリットや超具体的な練習方法、さらに便利ツールの紹介もします。
先に結論をお伝えすると、ライティングは英語力を上げる最適なアウトプットであり、スピーキングでは身につかない力も身につけることが可能です。しかも、いろいろなツールを上手に使えば、コストをかけず、独学も可能です!
この記事を読んで、さっそく今日からライティング練習を取り入れる計画を作りましょう。
目次
ライティング練習のメリットとは?
ただ漠然と書く練習をするのではなく、目的意識を持って最適な練習方法を実践することが効率的な英語学習につながります。
そこで、まずはライティング練習のメリットをしっかり把握しましょう。
ちなみに、ライティングと一言でいっても、いろいろなフォーマットがあります。
SNSに投稿する30単語くらいの短い英文もあれば、TOEICのS&WやIELTS、TOEFLなどの資格試験では、200単語~400単語の文章を書きます。
他にも、学生の方であれば、レポートなどで3000~5000単語、修士論文では12000単語~15000単語書くことが一般的です。
メリット1.【最重要】知っている知識⇒使える知識にできる
ライティングは、自分の知識(インプット)をもとに書くアウトプットの1つです。
皆さんも感じたことがあると思いますが、【知っている知識 = 使える知識】ではありません。実際には【知っている知識 > 使える知識】となり、両者には必ず差があります。
ここでは、Passive VocabularyとActive Vocabularyという言葉がキーワードになります。
Passive Vocabulary(受動的な単語)とは、読んだり聞いたりしたときに意味がわかる言葉です。反対に、Active Vocabulary(能動的な単語)は、実際に使える言葉を意味します。
「あれ、あの文法ってどうやって使うんだっけ?」
「この動詞って後ろに前置詞いるんだっけ?」
実際に書いてみると、こんな感覚を必ず経験しますよね。
そして、こんなときが知っている知識と使える知識の差を埋める絶好のチャンスです。
アウトプットすることで、結果的にインプットの理解度がより深まります。さらに、文字として残るライティングだからこそ、スピーキングよりも正確さが身につくことも大切です。
メリット2.新しい単語や表現を身につけることができる
「あれ、これって英語でどうやって表現したらいいんだろう?」
実際に書いていくと、自分のインプットでは表現しきれない場面にたくさん出会います。
そんなときは、インプットを増やすことができるチャンスです。
例えば、『社会人』という英語表現がわからない場合、調べて新しいインプットを得ることができますよね。ネットで検索すれば、一発でわかってしまう便利な時代です。
さらに、こうやって覚えたインプットは、単語帳などで覚えたものよりも印象に残りやすいことも事実です。なぜなら、自分で表現したくて調べたものだからですね。自分に結びつきが強い単語ほど、忘れにくくなります。
メリット3.流暢さが身につき、ビジネス場面でも活用できる
ライティングにおける流暢さとは、限られた時間でどれだけ文章を書くことができたか。つまりは、時間内で書けた単語数を意味します。
流暢さという言葉をライティングで使うことに、あまり慣れない方もいるかもしれません。ですが、ライティングに関する資格試験でも、流暢さは重要な評価ポイントです。
英会話と同じく、書く練習をすればするほど、流暢に書けるようになります。
Passive VocabularyとActive Vocabularyの差を埋めることができますし、新しいインプットも増やせるからですね。
結果として、仕事のメールはもちろん、会話の流れが早いSlackやChatworkなどのオンラインコミュニケーションも、スムーズにやり取りできるようになります。
今の時代において、文字ベースでのオンラインコミュニケーションは必須になっていますよね。
ライティング練習をするなら、この方法!
ここでは、超具体的なライティング練習の方法を共有します。
それぞれレベル別にわかれているので、自分に最適な内容を取り入れましょう。
【初級者~上級者】SNSに英語で投稿
Twitterに英語で投稿してみましょう。
英文は1文程度からでOKなので、日常の1コマを英語で表現してみるといいですね。
初級者の方は、食べたものや週末にしたことなど、まずは書けることを書いてみましょう。
また、上級者の方も実はおススメです。
Twitterは多くの有名人が使っており、いろいろな情報を発信しています。そこで、例えば気になる有名人のツイートをリツイートして、自分の意見を英語で書いたり、直接投稿にコメントすることもできます。
大学院などでもよくあるオンラインディスカッションの練習にもなりそうですね。
ただし、クソリプが飛んでくる可能性もあるので、心配な場合はリツイートはせずに、自分のフィードに投稿するだけにしておきましょう。
【初級者~中級者】英語日記
いろいろなブログサイトを使って、英語日記を作ってみましょう。
SNSでは、文字数が少ないため、まとまった文章を書くことができません。
そこで、私のおススメはnoteです。使いやすくて、ライティングに特化したとてもシンプルなフォーマットです。
実際にnoteで『#英語日記』で検索すると、たくさんの方が英語日記を書いていることがわかります。『スキ』を送ったり、お互いにフォローしあうことで、つながりも持てますよね。他の人とのつながりが、継続するモチベーションにもなります。
英語日記から始めて、慣れてきたら読んだ本の紹介などもできそうですね。
英語日記が習慣になると、日常の中で常に『英語で表現すると・・・?』という視点が持てるようになります。
その際に、英語表現を調べることで、インプットも増えていくので、英語日記はとてもおススメです。
ちなみに私は、学生時代に流行っていたmixiで英語日記を書いていました。時代を感じます。
【中級者~上級者】エッセイの練習
TOEFLやIELTS、TOEIC S&Wのライティング問題にチャレンジしてみましょう。
実際に試験を受けなくても、ライティングの問題だけに取り組むだけでOKです。
オンライン上にたくさん問題がありますし、サンプルアンサーも見れます。
いろいろなライティングの問題がありますが、トピックに対して自分の意見を主張する問題がおススメです。各資格試験に該当する問題は以下の通りです。
- TOEFL WritingセクションのTask 2
- IELTS WritingセクションのPart 2
- TOEIC WritingセクションのWrite an opinion essay(いちばん最後の問題)
これらの問題で練習するメリットは、読み手視点で書けるようになるという点です。
自分の意見をただ英語で書くだけなら、英語日記とあまり変わりません。
ですが、エッセイでは読み手に伝わる最適な書き方を考える必要があります。よく言われるのが、結論⇒理由の順番で展開する、という書き方ですね。PREP法とかCREC法と言われたりもします。
結果的に、国語力を鍛えることにもつながり、伝わる英語を身につけることができます。
【毎日実践】リーディングの習慣化でインプットUP
ライティングとリーディング
一見すると関係なさそうですが、実はライティングを向上させるうえで、リーディングはとても大切です。
私たちは、普段から読んだり聞いたりするインプットから、単語や表現などを意識的にも無意識的にも学んでいます。このインプットの量が多ければ多いほど、表現として自然かどうかを判断できるネイティブの感覚を身につけることができます。
そこで、自分のレベルにあった英語の文章をたくさん読むようにしましょう。
また、意識的な学習も大切です。
日本人の私たちにとって、英語のインプットに触れる量が圧倒的に少ないのは事実です。そこで、リーディングで出会った使えそうな単語や表現などを、実際に自分でも使ってみましょう。
インプットとアウトプットのサイクルが、英語力を高めることにつながります。
(補足)英語のビジネスメールは?
社内、社外の方々とメールのやりとりをするビジネスパーソンも多いはず。実際に、ビジネスメールを書く問題はTOEIC Writingで出題されます。
ですが、個人的にはビジネスメールに特化した練習は、あまり必要ないと思っています。
いわゆるビジネスメールの練習というと、敬語的な表現やメールの構成を学ぶことになります。しかし、社内、社外問わずメールでのコミュニケーションの取り方は、年代、人間関係、社風などによって大きく異なります。
特に、今の20代から30代の若手層であれば、日本語でも過剰な敬語を避ける傾向がありませんか?IT系の会社の方々は、顕著にこの傾向が強いと思います。
なので、他の方のメールの書き方をマネして書けば、あえてビジネスメールとして学ばなくても問題ないですよ。
ライティング上達のための便利ツール
ここでは、ライティング能力向上のために、実際に私も使用しているツールを紹介します。
世の中にあるツールをうまく使えば、可能な限りコストをおさえて、時には無料で添削も可能です。
文法や語法の確認なら、Grammarlyがおススメ
GrammarlyはYouTubeの広告などで、ご存知の方もいるかもしれません。いわゆる機械添削のシステムです。
WordやGoogle Documentの文法修正機能と似ていますが、より精度が高く、かつ無料でも十分すぎる機能が使えてしまいます。
特に、冠詞、単数形と複数形、前置詞の使い方など、間違えやすい点もしっかり修正候補を出してくれます。日本人にとっては難しい文法なので、ありがたいですよね!
ただし、当然ながら修正候補のすべてが正しいわけではありません。
「あれ、この単語の使い方って何か違うの?」
Grammarlyの修正候補から、こんなふうに考えて、自分で調べるきっかけにするのがスマートな使い方です。
調べる作業を自分でしなければ、結局何度も同じミスをしてしまうので注意しましょう。
自分で作った表現の妥当性は例文や検索数で判断
「この表現って英語として正しいの?」
覚えた単語を使って、表現方法を考えていくとこんな疑問を持つことがあります。
いろいろクリエイティブに表現を考えるものの、日本人の私たちにはその表現が自然かどうかは判断できません。
そこで、またまたネットの力を借りましょう。
まず、鉄板のオンライン辞書のWeblioの例文検索、それからアルクの英辞郎で検索してみましょう。ヒットすれば、実際に用法として正しいということになります。
ただし、Weblioや英辞郎では調べきれないこともたくさんあります。
そこで、Googleで検索したヒット数から表現の妥当性を考えることもできます。
検索方法を説明すると、それだけで1記事書けるレベルなのですが、こちらにキレイにまとまっていますので紹介します。
【Google検索方法】英語学習にも活用できるグーグル検索のテクニック10選+2
検索でヒットする数が多ければ多いほど、広く使われていると判断できます。
オンライン英会話で直接フィードバックを
オンライン英会話は、英会話の練習しかできないと思っていませんか?
実は、自分が書いたライティングのフィードバックを先生に求めることも可能です。
もちろん、あまり協力的ではない先生もいますので、リスペクトを持ってお願いしましょう。
Native Speakerの先生を選んで、自然な英語らしい表現か、意味が伝わるかなどのフィードバックをもらうことができます。ですが、まだライティングに自信がなく、日本語で相談したい場合は、日本人講師に聞いてみるのもおススメです。
私もオンライン英会話の講師をしていたときに、よく英検のライティング添削をしていました。文法や表現などの英語的な視点はもちろん、第三者目線で内容が伝わるかどうかという視点も大切です。
手軽に活用できるオンライン英会話を上手に使いたいですね。
(補足)ライティングに特化した添削サービスは必要?
ライティングに特化した添削サービスは、あると便利だと思います。
2人体制で添削してくれたり、細かい修正案などの提案もサービスに含まれる場合があります。
私も、修士論文の添削、IELTSのライティング対策で2社を使ったことがありますが、コスパ的には非常に悪いのも事実です。少なくとも、オンライン英会話の料金よりは高くなります。
なので、添削を依頼するライティングの内容によって使いわけが必要です。
例えば、修士論文などのようなアカデミックライティングと呼ばれる領域は、そもそも修士論文を書いたことがある人にしか添削はできません。同様に、IELTSやTOEFLなども、スコアアップに特化した添削を希望する場合は、やはり試験を熟知した人にしか添削ができません。
反対に、英語としての添削のみであれば、オンライン英会話でも十分問題ないと思います。
まとめ
今回はライティングに関して、超具体的な練習方法を中心にお伝えしました。
今回ご紹介した内容はほんの一部ですが、世の中に使える便利なツールはたくさんあります。英語の学習に慣れてきたら、ぜひアウトプットの一環としてライティング練習もやってみましょう。