ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
文法を理解することで、英語学習の世界を色鮮やかに。ビビッド英文法シリーズの今回は関係詞を取り上げます。
「関係代名詞って名前からしてもう・・・なんか嫌い。」
「結局thatを使っておけば問題ないんでしょう?」
学校で関係代名詞を習った皆様はこんなことを感じているかもしれません。
確かに一見複雑そうに見えますよね。ですが、関係代名詞は日常の中で使われないことはないくらい、メジャーなものです。関係代名詞を使うことができれば、伝えられるメッセージが確実に増えちゃいます。
今回の記事では、そんな関係代名詞の本質を理解して、身近に感じていただき、
「早速今日のオンライン英会話で使ってみよう!」
最終的にはこんな風に思っていただける内容です。
目次
関係代名詞の本質は情報の追加
学校でこんなことを聞いた覚えがありませんか?
関係代名詞は2つの文を1つにするものですよ~。
この説明は間違ってはない・・・と思います。
日常生活の中で(2つの文を1つにしたい!)と思うことは、ないような・・・。
そんな気もしますが、けっこう理にかなっているんですよ。
とは言っても、関係代名詞を使うと文が長くて複雑になるから大変。
こんなところが皆さんの本音だと思います。
『使いたい!』と思っていただくことがゴールなので、もっと親近感が湧くような伝え方をします。
本質は『情報の後付け』。
そんなイメージです。
例文を見ながら実際に考えてみましょう。
例文から感じる関係代名詞の役割
①I know a lot of teenagers who feel alone.
(孤独を感じている10代の若者をたくさん知っているよ)
②Where is the parcel which arrived this morning?
(今朝到着した小包どこ?)
③That is the guy who I met on the flight to London.
(あの人がロンドンに行くフライトで出会った男だよ。)
④Is this the file which you are looking for?
(これが君が探しているファイル?)
⑤You can choose a laptop whose price is within your budget.
(君の予算に合ったラップトップを選んでいいよ。)
なんだか学生時代を思い出すような例文ですね。
ピンクでハイライトしてある名詞が先行詞と呼ばれるものです。そして、その後ろに来ているwh-のかたまりが関係詞節です。
冒頭にお伝えしたキーワードである『情報の後付け』という意味、何となく理解できるんじゃないでしょうか。
英語は説明する言葉が長くなればなるほど、後ろから説明していく言葉です。でもこれって、話し手や聞き手にとってはとてもわかりやすいし、使いやすいんです。
なぜなら、話しながら「それってどんなものかって言うと~」と情報を付け足していけばいいので、話しながら考えられるからです。
それに対して、日本語の場合はどちらも前から先行詞(ピンクのハイライト)を説明していますよね。構造上、話しながら情報を後から付け足していけないので、話す前に頭の中で整理できていないと言えません。
日本語のNative Speakerである私たちは当然困りませんが、日本語を勉強している外国人の方からすると、文を作るのが実はとても大変です。おまけに、日本語の場合は動詞も活用させる必要があります。
ちょっと日本語のレッスンみたいになりますが、ぜひ英語と比較する観点で聞いてくださいね!
④Is this the file which you are looking for?
(これが君が探しているファイル?)
この文の場合、『君が探している』の部分は、『探しています』という丁寧な形を使うことができません。これは、常に関係詞節にあたる文の中で、動詞は『Vている/Vていた/Vする/Vした』という丁寧ではない形に変化させる必要があります。
これを日本語教育では普通形と表現するのですが、例えば以下のような文は間違っています。
これは君が探していますファイルですか?
要約すると、英語のほうが簡単ですよ!ということです。
動詞の活用もいらず、後ろから情報を後付けするだけですからね。
関係代名詞のルールはシンプルに3つだけ!
『情報の後付け』という本質がつかめたのなら、ルールとしての文法を見ても納得がいくはず。今回皆さんにお伝えするのは、『主格』『目的格』『所有格』のみです。
ちなみに『所有格』は他の2つと比較すると、使用頻度は低いので、まずは『主格』と『目的格』をしっかり理解しましょう!
ルール1.主格=主語で理解すればOK
①I know a lot of teenagers who feel alone.
(孤独を感じている10代の若者をたくさん知っているよ)
②Where is the parcel which arrived this morning?
(今朝到着した小包どこ?)
①②どちらも先行詞の説明として後付けされている関係詞節を見てください。
①のfeel aloneなのは誰でしょうか?
これは先行詞のteenagersがfeel aloneの主語になっていますよね。先行詞が人で、主語になっているときはwhoでつなぐ。ただこれだけです。
ちなみに頭の中では、こんなイメージで話しています。
(10代の若者をたくさん知っているよ。彼らは孤独を感じているんだよね。)
②も同様ですが、1つ注意が必要です。先行詞はthe parcelで人ではありません。この場合、当然whoは使えませんので、whichを使います。
(小包どこ?今朝到着したやつ)
こんなイメージですね。
ルール2.目的格=目的語になるもの
③That is the guy who I met on the flight to London.
(あの人がロンドンに行くフライトで出会った男だよ。)
④Is this the file which you are looking for?
(これが君が探しているファイル?)
ちなみに、もし目的語という言葉の意味が不安な場合は、ぜひ文型の学習に戻りましょう。5文型を学習する意味についてまとめた記事もありますので、よければ参考にしてください。
話を戻して、③④はどちらも先行詞の説明をしているという点は同じです。
ですが、その後ろの関係詞節を見ると違いが一発でわかります。主語にはなっていませんよね。
動詞の後ろにくる目的語の説明をしているので、目的格と呼ばれます。
頭の中では・・・
(あの人だ!ロンドンに行くフライトで出会ったの。)
(これがファイル?君が探しているやつ。)
ルール3.所有格も本質的な使い方は同じ
⑤You can choose a laptop whose price is within your budget.
(君の予算に合ったラップトップを選んでいいよ。)
もうお分かりですね。頭の中では次のようなイメージで話しています。
(ラップトップ選んでいいよ。その値段は君の予算に合っているものね。)
ただし、所有格は先行詞そのものの情報を後付けしているわけではありません。
先行詞に関する何かの情報を後付けしています。上の例文の場合は先行詞であるa laptopのpriceです。
直接a laptopの説明をしているわけではないので、ちょっと使いにくいですし、使用頻度がやはり少ない印象です。でも、あくまで関係代名詞のイメージは他の2つと同じですので、皆さんは理解できたでしょうか。
もう迷わない!whichとthatで迷ったときは?
「関係代名詞のthatは万能だから、迷ったらthatを使えばいい!」
こんなことを学校で習った方も少なくないと思います。というか、私もその一人です。
そして、テストでは「※ただしthatは使用しないこと。」と書かれていたのは良い思い出です。
さて、使い分けですが、もちろん単語が違う以上、100%同じではありません。少なからず意味するニュアンスは違いますが、迷ったらthatという考え方で良いと思います。
他にも、『制限用法』や『非制限用法』なんて言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、シンプルにまとめると、thatはwhichやwhoよりもつながりが強く、不可欠な情報。そんなニュアンスを理解できていればOKです。
その証拠に、whichやwhoは「,」で物理的に区切ってしまうこともできます。
I have a sister, who lives in Tokyo.
(姉が1人いて、東京に住んでいるんです。)
こんな文があった場合、見た目通りコンマによって文が区切れていますよね。
つまり、お姉さんは1人だけなんです。他にも東京以外の場所に住んでいるお姉さんの存在は、この文からは感じられません。I have a sister.と言いきっているからですね。
さらにおまけで、こんな言い方もできてしまいます。
My wife said that she loved me, which was not true. She cheated on me!
(妻はいつも愛してると言っていたんだ。でもそれは本当じゃなかった。浮気してたんだよ。)
なんとも切ない文ですが、この場合の関係詞節が説明している内容は何でしょうか?
実はこれ、My wife said that she loved me.という文全体を先行詞にしています。こんな使い方ができるのも、コンマで文を区切って、付け足すことができるwhichならではの機能です。
それに対してthatの場合はそうもいきません。
関係代名詞の前後のつながりが強いことを表しています。
What is it that truly allows your body to heal?
(あなたの身体を癒してくれるものは何なの?)
What is it that you are complaining about?
(何に文句言っているの?)
いかにも英語らしい文になりましたが、どちらもthat以下の関係詞節がなければ、意味が伝わりませんよね。むしろ、that以下が一番重要なポイントです。
thatはこのように前後のつながり強く、切り離せないものに使います。当然コンマも使えません。
ですが、まずはこの記事のゴールは『使ってみたい!』と思っていただくこと。
thatやwho/whichのニュアンスはまた今後のステップで問題ないと思いますよ!
まとめ
関係代名詞の本質、しっかり理解いただけたでしょうか。
関係代名詞の良さが発揮できるときは、何かを説明するときです。なので、ぜひオンライン英会話や作文で、家族や友達、パートナーやペットなど、何でもいいので紹介をしてみましょう。
そうすると、必然的に「そして、その人/それは~」というふうに情報を後付けすることができます。話しながら考えて、情報を後付けできるのは、日本語ではなかなかできないことですよ。
では次回もお楽しみに!
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※一部の例文はオリジナルです。