ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
今回は英字新聞とTOEICのリーディング対策についてお話します。
TOEICで苦戦するパートと言えば、やはりPart 7の長文読解ですよね。時間が足らず、塗り絵になることもスコアによってはあるはずです。
「Part 7で正答率&スピードアップしたければ、英字新聞を読むことをおススメ!」
こんな情報もネットにありますが、果たして本当でしょうか?
私の経験や今まで関わってきたハイスコアを取得した英語学習者の情報を踏まえて、英字新聞とTOEICのリーディングの関係を解説します!
リーディングで伸び悩んでいる方にとって、参考になる内容です。
目次
結論:直接的な対策にはならないので注意
いきなり結論ですが、英字新聞を読むことはPart 7の直接的な対策にはなりません。
- Part 7が時間内に読めない
- 正答率が低く、後半のダブル、トリプルパッセージではミスも多い
現状がこんな感じで、TOEICのスコアがとにかく必要な方がやるべき対策は、TOEICの問題を使った練習です。英字新聞を読むことではありません。
サッカーが上手くなるように、まずはウイイレから始めるくらい遠回りです。
もちろん英字新聞を読むことが、英語学習でムダになることはありません。
ですが、スコアアップの最短距離を考えると、英字新聞での対策をおススメできない理由があります。
【英字新聞とTOEIC①】内容の違い
英字新聞で取り扱われるような時事的な内容は、TOEICでは出題されません。
まず大前提として、この事実を理解しておく必要があります。
そもそも、TOEICのPart 7の形式は、広告や記事、それからウェブサイトやメールなどです。
また、ビジネスに関する内容とは言いつつも、会計や経済の知識などは一切必要ありません。あくまで、一般的な日常場面の延長と考えましょう。
ちなみに、Part 7の記事の内容は、確かに英字新聞に近い形式なのは事実です。
例えば、ある地方で成功したビジネスに関するストーリーなどがトピックになります。
ですが、記事の問題の出題数がそもそも少ないですし(2題から3題程度)、内容的にも実際の新聞で取り上げられるような深い内容ではありません。TOEICでは、100語程度の短い英文です。
【英字新聞とTOEIC②】 レベル感の違い
先述したとおり、TOEICは日常場面の延長的な内容です。1つの文章も短く、使用される語彙、表現などもわかりやすいことが多いです。
実際に、700点程度の方でも、
「じっくり読めば、Part 7は回答できるんですが・・・」
と言う方は多いです。
難しい英語で書かれている内容ではないということですね。
それに対して、英字新聞は当然ながらリアルな英語で書かれています。
例えば、英字新聞としては比較的読みやすいThe Japan Timesを見てみましょう。
In January 2018, a massive hack of Tokyo-based crypto exchange Coincheck saw the theft of about ¥58 billion ($446 million at current exchange rates) worth of digital tokens, sparking calls for stringent regulations and prodding the country’s financial watchdog to initiate a sweeping crackdown on domestic exchanges.
Both hurt and saved by regulations, what is next for crypto in Japan?
この文章、正確に理解できるでしょうか。
なんと、この文章はこれだけの長さで1文なんです。英字新聞では、このように情報を付け足しながら文章を展開していくことが多いのですが、これだけでレベル差を感じますよね。
ちなみに、The Japan Timesは記事にもよりますが、1つの記事で2000単語くらいあり、TOEICの1パッセージの20倍くらいの長さがあります。
【英字新聞とTOEIC③】ゴール感の違い
正確に読める≠時間内に正解できる
この意味がわかるでしょうか。
TOEICのような資格試験では、文章の内容を理解することがゴールではありません。理解した情報をもとに、正解を選ぶことがゴールです。
そして、そのためには読むスピードも大切ですし、選択肢を読んだうえで回答の根拠を探す力も必要です。中にはひっかけ問題で、簡単な計算が必要だったり、答えの根拠が複数の文章にまたがっている問題もあります。
これらの処理をどれだけスムーズに、かつ正確にできるか。
これがPart 7でいちばん難しいところであり、スコアアップのポイントでもあります。
それに対して、英字新聞の場合は、全体の内容を把握するスキミング的な力はつきますが、回答するための練習はできませんよね。そもそも英字新聞は回答を探すために読むものではありません。
Part 7対策でやるべきこと
「とにかくPart 7の対策をして、スコアを上げたい」
そんな皆さんがやるべき勉強は、とてもシンプルです。
それは、公式問題集などを使ってPart 7の問題を解くことです。
そして、解いた中でわからなかった単語や文法などは、解説を読み、しっかり理解して覚えましょう。それから、ちょっと感覚を空けてもう一度解いてみましょう。
【解く⇒復習する⇒解き直す】
この繰り返しが一番大切です。
最低3回くらい繰り返せば、時間の使い方や、回答のテクニック、答えの根拠の探し方を身につけていくことができます。
とても地道で泥臭い練習ですが、最短でスコアアップするためには欠かせません。
もちろん、単語暗記も必須ですよ。
(補足)ハイスコア取得者に見られる3つのパターン
おまけの情報ですが、860点以上のハイスコアを取得している方は、大体以下の3つのパターンのどれかに当てはまります。
- TOEICに特化した対策をゴリゴリしている
- YouTubeや英字新聞などで英語を学んでいる
- 帰国子女
この中で、❸の帰国子女は除くとして、❶と❷を比較しましょう。
❷の方は、TOEICをただの英語力の指標で受けてみるパターンが多く、そもそもの英語力を鍛えるのに数年費やしていることが多いです。
それに対して、❶のTOEIC対策でスコアを取る方は、短期間の学習で成果につなげることもあります。TOEICの対策に特化するからこそ、最短距離でスコアを取得できる可能性が高まるということですね。
英語の学び方、TOEICに対しての考え方もたくさんありますが、現在TOEICのスコアが伸び悩んでいる方が❷と同じ勉強方法を取り入れても、あまり効果的でないことがわかるでしょうか。
英字新聞を読むメリットはある?
ここまで、TOEIC対策としての英字新聞での学習を全力で否定してきましたが、英字新聞を読むメリットはたくさんあります。
英字新聞のリアルな英語に触れることで、語彙力、表現力が身につくのは間違いありません。
そのためには、わからないところを徹底的に調べていくことが前提ですが・・・。
ですが、そんな練習を通して総合的に英語力を鍛えることができます。何より、英語で情報を理解するというコミュニケーションツールとして使えるようになりますよね。
英字新聞を使って学習するのに向いている人
こんな方は英字新聞での学習も取り入れて進めてみましょう。
- 英語力そのものを伸ばしたい
- 特にTOEICのスコア取得に期限や強い目的がない
- 英語を使って情報を集めたい
TOEICをはじめとした資格試験は、やはりテスト用に作られた英語であるのは事実です。なので、内容のリアルさ(Authenticity; 信ぴょう性)は微妙なことも実はたくさんあります。
特に最近のPart 2の応答問題では、コミュニケーションとして成り立っていないようなケースも見られるようになりました。
試験である以上、当然と言えば当然ですが、TOEIC対策だけでは学べない英語もたくさんあるということです。
英字新聞で学習するなら、このサイト!
皆さんが英字新聞を読んでみる場合に、おススメのサイトを紹介します。
実は、英字新聞はネット上で無料で見れるものがたくさんあるんです。
有名どころのThe Japan TimesやBBC News、それからABC Newsはかなり難易度が高いので注意しましょう。TOEICのリーディングで400点くらいはないと、そもそもチャレンジしてみるのも大変です。
何より、難しすぎて単語を調べたり、内容理解に頭を悩ませることが多いので、途中で挫折してしまうリスクがあります。
そこで、私のおススメは英語学習者用の英字新聞です。
いろいろなオンライン英会話スクールが無料で提供しており、レベルにあわせてしっかり作られているところもGoodです。
ここでは2つ紹介します。
DMM英会話 Daily News
DMM英会話のDaily Newsは見た目がとても読みやすく、単語の解説、例文や本文の和訳も記事のレベルによっては見ることができます。
何より、豊富なジャンルの記事があるため、興味があるニュースを自分の英語のレベルに合わせて読むことができます。
レアジョブ Weekly News Article
レアジョブはスタイリッシュな見た目で、英字新聞っぽい感じにこだわっているようですね。
また、機械音声ではありますが、各記事の音源があるところもプラスなところです。
まとめ
TOEICのスコアと英字新聞の関係、クリアになったでしょうか。
英字新聞はすばらしいリアルな教材ですが、目的にあわせて使っていくようにしたいですね。
ちなみにTOEICに対しては直接的な効果は薄いですが、TOEFLやIELTSなどの資格試験だと、効果的な場合もあります。そんな話もまた今度しようと思います。