海外進学は仕事と両立も可能!? Distance Learningという選択肢

この記事はこんな方におススメ!
  • 海外進学を考えている方
  • 家族や仕事を犠牲にして進学ができない方
  • 現職を辞めたくないと思っている方

ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
この記事では、海外進学を考えている社会人の方に向けて、イギリスのLancaster大学院でTESOL(英語教授法)を修了した私の経験をお伝えしたいと思います。
TESOLに限らず、MBAを中心とした人気の専攻も視野に入れて海外大学院を検討している方にとっても、Distance Learningがどういったものかイメージしていただけると思います。

「MBA留学をしたいけど、家庭もあるし・・・」

「卒業後のことも考えると現職のまま修了できるとうれしいのに・・・」

社会人の皆さん、こんな新しい学びのあり方も今では実現できますよ。
どの専攻を選ぶにしても、海外大学院進学を考えたときに、仕事を辞めて現地に行かなくても修了できるという選択肢があるんです。
その具体的なイメージを持っていただくことで、一人でも多くの方の可能性を広げることになればうれしいと思い、この記事を書いています。

ちなみに海外進学に必須なTOEFLとIELTSの比較はこちらにまとめています。
どちらの試験を勉強するか迷ったときに役に立つ内容ですので、よければ参考にしてくださいね。

Distance Learningとは?

いわゆる通信教育を指します。
ただし、通信教育と言っても形態がいろいろあり、特にコロナ禍でオンラインでの学習が一般化した今ではイメージもわきやすいかもしれませんね。
ちなみに私が進学したのは2019年の9月で、コロナが始まる前でした。

Lancasterに関して言えば、大学院の授業は基本的にリアルタイムのLiveレッスンはありませんでした。
オンラインプラットフォームのMoodleを使い、Moodle上で毎回投稿される教授からの課題を確認し、自分で学習を進めていく必要がありました。
しかし先述した通り、大学院によっては現地の授業にリアルタイムで参加するLiveレッスンの形態もあると思います。
ぜひ気になる大学の情報を集めてみてくださいね。

そもそもDistance Learningで学ぶ学生は、基本的に現職に就いていることがほとんどだと思います。
LancasterのTESOLも、入学条件の中に3年の英語の教授経験も必要で、本来1年かけて修了する修士課程を、2年かけてPart-timeで受講するカリキュラムでした。

また、同級生も世界中のいろいろな所に住んでおり、国籍も様々でした。入学時に15名程度学生がいたような気がしますが、イギリス、アメリカ、オーストラリアに加え、中国、それから1名日本人の方もいました。
これは完全に専攻によるところですが、英語圏の大学であれば、基本的に英語のNative Speakerのほうが圧倒的多数なのは事実かと思います。

Distance Learningの大学院生活はどんな感じ?

テキストベースのコミュニケーション

コミュニケーションはMoodle上で行うので、掲示板のチャット、あるいはメールベースでやりとりをすることになります。
TeamsやZoomを使ってのリアルタイムの会話は一度もなかったと記憶しています。
修士論文に関してメンターの教授とはSkypeで直接話したことが一度ありましたが、基本的にはテキストベースで進めました。

LancasterのMoodle画面(修士論文提出時)

課題はPart-timeでも多め

Moodle上に全学期(Module;モジュール)の掲示板があり、各Moduleは10週くらいで完結でした。
なので、各Moduleごとに、毎回課題として5000wordsのレポートを提出する必要があり、これが非常にタフな課題だったことを覚えています。
ちなみに掲示板に毎週投稿される教授からの課題は、指定された論文を読み、意見を掲示板に投稿するオンラインディスカッションがメインでした。

LancasterのTESOLはPart-timeだとお伝えしましたが、課題の量も気になりませんか?
現職者を対象にしているなら少ないと思うかもしれませんが、少なくとも私にとってはそんなことはなく、毎週ヒーヒー言っていました。(笑)
大体A4で20ページくらいある論文が毎週2本から3本くらい課題としてアサインされ、5日間ほどで読み、週末に掲示板のディスカッションボードに書き込むという流れでした。
これを淡々と2年間繰り返していく感じです。

修了までの道のり

修士論文の有無は大学院、それから専攻によって変わります。
TESOLに関しては、よく名前があがるオーストラリアのUniversity of Wollongong(ウーロンゴン大学)などは、修士論文は必須ではなく、教育実習が要件だったと記憶しています。
気になった専攻や大学院があれば、その修了条件もしっかり確認するといいですね。
大まかな情報であれば日本語でも検索できるサイトが多数あります。

私はすでに十分な教授経験を持っていましたので、あえて教育実習などではなく、しっかり理論を学び、私自身の成果を論文として残したいと思っていました。なので、修士論文が必須なLancasterを選びました。

Lancasterを修了するまでの2年間は本当に苦しい期間でしたので、乗り越えたいくつもの壁をお伝えします。不思議と当時は結構楽しんでいましたが。(笑)

課題レポート

各Moduleごとに出す期末レポート(基本的には5000words)は、A4の用紙に換算すると10ページちょっとになります。実際にはそこにAppendixとしての補足資料やReferenceをつけるので、15ページくらいです。

Lancasterでは修了までに全6Moduleあり、最後のModuleは修士論文でしたので、5000wordsの期末レポートを5回提出したことになります。

学習習慣

正直これが一番大変で、ドロップアウトの原因になると思います。
Distance Learningは日々の取り組みに対して自由度が高いため、課題を自分の生活に落とし込み、とにかく自分で進めていくしかありません。
学習習慣が身についていないと、仕事や家庭との両立もできず、結果的に課題がこなせません。また、課題を出さなくても基本的にだれも何も言いませんので、自分次第です。
当然その場合はFailureになってしまうわけですが・・・。

ただし、Lancasterの場合は、毎週の課題に対してのオンラインディスカッションはペアやグループになっていることがほとんどでした。
なので、テキストベースで同級生と学び合うグループがあり、その中で交流はできます。
とは言っても、自分で取り組む習慣がなければ、やり切れずに終わってしまうことには変わりません。

モチベーション

学習習慣と重なる部分が大きいですが、モチベーションの維持を自分でしなければなりません。Lancasterでの勉強が始まる前に、オリエンテーションの期間が1週間あるのですが、その際に、こんなトピックに対してのオンラインディスカッションをしました。

  • Distance Learningをやりきれるのはどんな人か
  • 自分のハードルになることは何か

ドロップアウトする学生がいることが前提なんですよね。
私は人生を懸けて取り組んでいましたし、TESOL修了が当時は人生の1つの目標でしたのでモチベーションは全く問題ありませんでした。

しかし、いざModuleが始まると毎学期でドロップアウト者がでてくるのに驚いたのを覚えています。
結果的に、入学時は15名程度いたと思いますが、修士論文前の最後のModuleでは半分くらいに減っていたはずです。
それだけ仕事や生活、家庭との両立を2年間という長期間続けるのは大変だということです。
現職のまま今の生活を維持して学位が取れるというメリットがある一方で、生半可な気持ちではまず続けられないものです。

修士論文

当然ながら一番のハードルです。
修士論文は大学の学部で書く卒業論文ほど易しくはないので、12000単語から15000単語を書く必要がありました。参考文献や、自分が集めたデータなどの補足資料を入れる必要があるので、A4で60枚から80枚くらいになることが多いと思います。

私も80枚は超えていたと思いますし、データの分析(統計のSPSSというソフトを使います)を使う必要があり、やったことがない内容で毎日頭を悩ませ、苦しみ続けて書き上げたことを今でも覚えています。

修士論文の表紙

Distance Learningの代償

Distance Learningで修士号を取得するために犠牲にしたものをまとめてみました。

学費(約180万)

これは当然ですね。ただし、Distance Learningでは滞在費やビザのお金なども必要ありませんので、純粋に金額だけ見たらかなりお得感はあります。
私の場合、本当はカナダの名門大学院であるUBCに行きたかったのですが、給付型の奨学金の申請条件を満たしていなかったことがDistance Learningを選ぶことになった一つの理由です。

もし仮に現地の大学院で学んでいたの出れば、学費と滞在費で500万円はトータルで必要になっていたはずです。ちなみに米国MBAを私費で学ぶと学費だけで1000万は余裕で超えます。
トータル2000万くらいかかると思います。

時間

当たり前ですが、遊びに行く時間はなかったです。
Part-timeの受講とはいえ、毎週出る課題では、大量の文献を読み、掲示板でディスカッションをしたり、エッセイを書かなければなりませんでした。
当時の私はIELTSで7.0をとっており、TOEFLでいうと100点相当のスコアです。
それでも自分の専門分野である英語教育の内容ですら、1回で理解できることはありませんでしたので、論文は複数回読む必要がありました。

毎朝4:45に起きて出社前に勉強していましたし、終わらない場合は仕事後に取り組むことも。
週末ももちろん課題をまとめるのに時間を使っていたため、休暇という概念はほぼなかったです。

当時はベトナムに滞在していたのですが、ベトナムの長期連休であるテト休暇(旧暦のお正月)で日本に一時帰国していたときはもちろん、バンコクのムエタイ合宿に参加していたときでさえも、練習の合間に大学院の課題に取り組んでいました。(笑)
唯一1年目が終わり、2年目のModuleが始まる前は、課題が終わっていた場合のみ1か月くらい休みがあったような気がしますが、そんな程度です。

休暇中のムエタイ合宿

出会いのチャンス

現地の大学院への留学であれば、学生間のつながりもあり、週末は飲みに行ったり楽しい時間もたくさんあると思います。現地で過ごす時間が留学の一番の醍醐味でもあると思いますし、出会いで人生が変わることもあります。
しかし、Distance Learningでは当然そんなことはありませんので、純粋に孤独との戦いです。そして、その戦いからドロップアウトした方々が入学者の半分くらいもいたというのも衝撃の数字ですね。

海外大学院を検討している方へ

長くなりましたが、これがこの記事のまとめであり、海外大学院進学を考えている方へのメッセージです。

大学院進学の目的と手段、よく考えてください。
私が20代前半なら、貸与型の奨学金を借りるなどをして大学院生になるのも抵抗がなかったかもしれません。
確かに金銭的なことも理由でしたが、それでもすでに教師としての経験も豊富にある30目前(当時28)の自分が、全ての今の生活と収入を捨てて大学院生になることにどこまで価値があるか。
私にとって、大学院進学は今後のキャリアを考えたときの手段であり、目的ではないという結論にいたりました。

もちろん30過ぎて、仕事を辞めて大学院に行くことは否定しませんし、自分もお金があったらそうしたかったのが本音です。
今でもカナダに行けていたらもっと英語も上手になったかな、なんてふと思ってしまいます。
そして、Distance Learningという私自身で選んだ選択が、カナダへの留学を考えていた当初の自分からは想像できず、環境なども多くの不満がありました。
人とのつながりはもちろん、英語力的にもリーディングとライティング以外は基本身につかないと思いますし。

でも、仮にその環境が30点だとしてもその環境を選んだ自分は120点の生活をしようと決めていました。そのおかげで、朝活をずっと続け、何度も苦しみながらも学びを楽しむことができました。
修士論文のプロジェクトは一生忘れられない体験です。はっきり言って成果は非常にお粗末なものではあるんですが。

大学院進学をしたからといって、何かが変わるのか。

それはわかりません。

でも、学びたいことがあるなら、それを達成する手段を考えてみてください。

幸運なことに、今の生活を捨てて現地にいかずとも、達成できる選択肢もあるんです。

それぞれのライフステージ、ライフスタイルにあわせた達成の仕方があります。そんな豊かな時代です。

もちろんその代償は大きいです。時間も自由もお金も吹っ飛びます。

諦めないといけないことも多いでしょう。

挫折もするし、いろいろと劣等感を感じることもあるかもしれません。

それでも、学びたいという方の一つの選択肢として、Distance Learningというものがあることを伝えたくてこの記事を書きました。

自分が進む道を選択する際に、その道が正しい方向に進むかは誰もわかりません。
誰かにアドバイスを求めても、結局は自分の人生ですから責任をとるのは自分です。
それならば、選んだ道が正しかったと思えるように努力すること。できることはそれだけです。なんだか暑苦しく語りましたが、これは私の人生観にもなっています。

この記事が少しでも学びたい方の応援になることを願っています。それではまた次回!