ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
文法を理解することで、英語学習の世界を色鮮やかに。ビビッド英文法シリーズ・・・何本目か忘れてしまいましたが、今回は仮定法を取り上げます!
仮定法は高校で習う英文法ですが、おそらく苦手とする方がいちばん多い文法の1つです。
「仮定法って結局いつ使うの?」
「時制が過去形だったり、過去完了だったり・・・複雑でわかりません。」
「普通のifとどうやって見分けるの?」
こんな皆さんの疑問に死ぬほどわかりやすくお答えします。
ちなみに、今回の記事でお伝えしたい結論を先に言うと・・・
仮定法は妄想の世界
こんな内容です。
どんな意味なのか、ぜひぜひ最後まで読んでくださいね♪
目次
例文から考える仮定法の世界
まずは3つのクセ強な例文で仮定法の世界観を感じてみましょう。
細かい文法の説明はあとでしっかりしますので、安心してくださいね。
- If I were a bird, I would fly to you.
もし鳥だったら、君のもとへ飛んでいくのに。
- If I had money, I could buy a new iPhone.
もしお金があったら、新しいiPhoneを買えるのに。
- I wish I were a boy again!
少年に戻れたらいいのに。
仮定法のルールを理解~仮定法過去~
仮定法のいちばんの難しいポイントは時制の変化です。
ですが、ここにはしっかりルールがあります。
- If I were a bird, I would fly to you.
- If I had money, I could buy a new iPhone.
- I wish I were a boy again!
例えば、上に挙げた3つの例文を見てみましょう。
これらの例文では、すべて動詞、助動詞の過去形が使われています。この過去形、果たして本当に過去のことを意味しているのでしょうか。
本来は、現在のことを表現したい場合は現在形や現在進行形を使いますし、過去のことを言いたい場合は過去形を使います。未来ならwillやbe going toを基本的には使いますよね。
ですが、あくまで仮定法は妄想の世界。
実際にその出来事が起こる可能性はほぼ0%で、頭の中にある内容です。
以前ビジネス英語では過去形を使うという別記事で、『心理的な距離感を過去形で表す』ということをお伝えしました。ズバリ、この感覚が仮定法にも当てはまります。
頭の中にある妄想なので、当然ながら現実とは距離があるわけです。
なので、今の状態を表す場合にそのまま現在形を使うことはできません。動詞を過去形にして、現実と距離感を出すことで、『私の妄想を言葉にしていますよ~』というサインを出しているわけですね。
注意① 助動詞のcouldやwouldは必要?
仮定法は妄想である以上、クセ強例文の①と②にあるようにifを使うことが多いです。
文中のifではない主語と動詞のセットを主節と言いますが、主節内では基本的に助動詞を使います。この助動詞は、couldやwouldを使いますが、意味の理解は注意が必要です
canは「~できる」という意味を表しますが、実際に能力や可能を表す場合と、話す人の気持ちとして表す場合があります。
何やらややこしいですが、例文を見ると、サクッとわかります。
- People at the age of 18 can vote in Japan.
日本では18歳で投票できます。
この文章は、話す人の気持ちは関係なく、事実を表していますよね。
でもこの場合はどうでしょうか?
- The rumor can’t be true!
その噂は真実なはずがない。
この場合はcanは明らかに話し手の気持ちを表しているものです。
仮定法は(もし~~だったら)と言っている以上、『だったら、どうする?』を表す主節の部分には話し手の気持ちを表す助動詞を使う必要があります。なので、助動詞のwouldやcouldを意味に応じて使う必要があるわけです。
注意② wishのときは助動詞を使わない?
- I wish I were a boy again!
この文で使われているwishは、妄想を表すサインになる単語です。目的語にくる文は仮定法となりますが、ここに助動詞は必須ではありません。
(少年に戻れたら、どうする?)にあたる部分がないので、I wishの文の中では助動詞は必要ありません。でも、こんなふうに、(どうする?)にあたる部分を続けて表現したい場合は、助動詞を使います。これは話し手の気持ちを表現しているからですね。
- I wish I were a boy again! I would definitely study harder!
注意③ be動詞はどうしてwasじゃなくてwereなの?
これは昔の英語のルールの名残りだそうです。
そんなにツッコんで理解する必要があるところではありませんが、気になる人もいるかもしれないので、サクッと説明しておきますね。
昔の英語では、仮定法のときのbe動詞と、直説法(仮定法じゃない普通の場合)のときのbe動詞では、それぞれ違う形のbe動詞を使っていました。仮定法では、その名残りから主語に関わらず、仮定法としてのbe動詞であるwereを使うようです。
ですが、今では昔の名残りから脱却して、主語にあわせてwasを使う人も増えてきているそうですよ。
仮定法のルールを理解~仮定法過去完了~
ここまで仮定法のルールを理解してしまえば、仮定法過去完了を理解したも同然です。
次の例文を見てみましょう。
- If I had known your phone number, I would have called you yesterday.
君の電話番号を知っていたなら、昨日電話かけたのに。 - If I had had enough money then, I could have bought the souvenir.
そのときにお金が十分あったら、お土産買えたのに。
結局いつの話をしているのか?
妄想の世界なので、現実との距離感を時制で表すということがポイントでしたね。例文はクセ弱ですが、ifの中では過去完了、主節では助動詞+完了形を使っています。
なので、言いたい内容はすべて過去の事実に対しての妄想ということですね。
「あのとき、ああしていれば・・・」
こんなイメージです。
なお、主節では助動詞+完了形ですが、couldやwouldをさらに変化させることはできませんから、助動詞+完了形という形になっています。現在完了形とは一切関係ないので、ご注意ください。
また、仮定法過去と仮定法過去完了をミックスしたこんな妄想も可能です。
- If you had caught the plane, you would be dead now. The plane crashed.
もしその飛行機に乗っていたら、今頃死んでいるよ。その飛行機は墜落したんだ。
ifはいつでも仮定法?
もうここまでくれば、仮定法と仮定法ではないifの文章も区別がつくはずです。
ちなみに仮定法ではないifは直接法と言いますが、この言葉が答えですね。
直説法のifは、事実に基づいているという考え方が根本にあります。つまり、妄想ではないということです。例文を見れば、よりビビッドになるはずです。
- If it’s sunny tomorrow, let’s go camping.
明日晴れたら、キャンプに行こう。 - You can do it later if you are too busy.
メチャクチャ忙しかったら、あとでやってもいいよ。
仮定法は現実とは違うことを表現しますが、直説法の場合は可能性として十分起こりうる場合に使います。明日晴れる可能性も、あなたがメチャクチャ忙しい可能性も決してゼロではありません。
つまり、仮定法と直説法の使い分けは、妄想の世界かどうか。これで判断するだけです。
ではここでクイズです。
皆さんの目の前で困っている同僚に対して声をかけるなら、どちらを選びますか?
- If I have time, I will help you later.
- If I had time, I would help you.
文法的にはどちらも正しいですが、表現しているニュアンスの違いがビビッドにわかるはずです。
果たして手伝ってくれるのは・・・。
まとめ
仮定法は妄想の世界という意味、ビビッドになったでしょうか。
他にも例文はたくさんありますし、仮定法はいろいろな場面で使われるので、もちろんこの限りではありません。
ですが、仮定法が持つ世界観がしっかりわかれば、そのニュアンスもビビッドに感じられるはずです。動詞の変化が複雑なので少し慣れは必要ですが、ぜひ実際に使ってみましょう。
表現できる世界が変わるはずですよ♪
では次回の記事をお楽しみに。