【ビビッド英文法】現在形は『過去・現在・未来』を表すという話

この記事はこんな方におススメ!
  • 文法をイチから学び直したいと思っている方
  • 実践で使える文法知識を身につけたい方
  • 時制を正しく理解したい方

ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。

文法を理解することで、英語学習の世界を色鮮やかに。ビビッド英文法シリーズの第二弾です。今回は現在形を取り上げます。

皆さんは現在形と聞くと、いつの話をするときに使う形だと思いますか?

現在形という名前だから、今の話じゃないんですか?

このように考えたかもしれません。現在の話をしているというのは正しいですが、実際にはそれだけではありません。現在形が表している範囲は、現在だけに焦点が当たっているだけではなく、過去と未来の内容も意味として含んでいます。

現在形に関して、学校の授業でこんな説明を聞いたことがありませんか?

英語では『不変の真理』『確定した未来』、それから『習慣的な動作』も現在形で表すのよ。

学生時代はとにかくテストのためにこんな説明を覚えたかもしれません。
丸暗記ももちろん大切ですが、ビビッド英文法ではそこに『Why?』と問いかけて、本質を理解することを目指します。そうすることで、現在形が持つイメージを理解することにつながり、英語の世界観をよりビビッドに感じることができるはずです。

現在形は過去・現在・未来形!?

この言葉は私が勝手に思いついたもので、英語講師をしていたときによく使っていました。なので、専門用語ではありませんの悪しからず。
でも、意味としては一番シンプルでわかりやすいと思います。

現在のことにスポットを当てているけど、表す意味はそれだけじゃない。
そんな内容を例文とともに一緒に見ていきましょう。

不変の真理とは?

かっこいい言葉の響きですが、要するに事実として認識されている法則などのことです。これは具体的な例を見たほうがわかりやすいですね。

The sun rises in the east and sets in the west.
太陽は東から昇り、西に沈む。

Water boils at 100°. 
水は100°で沸騰する。

このブログのタイトルからお分かりかもしれませんが、この2つの文章は今だけの話をしているわけではありません。日の出や日の入りの方角、それから水が沸騰する温度は、昨日も今日も、それから明日も変わりませんよね。何かとんでもない事態が起きれば話は別ですが。。。

過去や未来も含めつつ、現在の状態がある。そんなイメージが現在形です。

逆に言うと、今目の前で沸騰しているお湯を表現したい際には現在形は使えません。
なぜなら、現在形は過去・現在・未来形なので、今の瞬間だけを切り取って表現するには適していないからですね。その場合は、現在進行形を使ったほうがいいですね。

Hey, your hot water is boiling now. Put out the fire!
ちょっと!お湯が沸いてるよ。火を消して!

確定した未来とは?

「現在形なのに未来を表すってどういうこと?」

こんな疑問を持つかもしれませんが、もう勘のいい方ならお分かりだと思います。現在形は過去・現在・未来形なので、未来の意味も含んでいますよね。

例えば電車の時刻表をイメージしましょう。
電車や飛行機などの乗り物の時間は突発的に決まることは基本的にはなく、時刻表に沿っていますよね。少なくとも日本の場合は・・・。

また、映画の上映スケジュールも現在形で表現することができます。あらかじめスケジュールは決まっているからですね。

The next train leaves at 6:54.
次の電車は6:54に出発します。

What time does the movie start?
– It starts in an hour.

次の映画は何時に始まりますか?
– 1時間後です。

もちろん、常に現在形でないといけないという意味ではありません。
実際には、過去にフォーカスする場合は過去形を使うこともありますし、未来の場合はbe going toを使うこともあります。

ちなみに文法書などには、『往来発着の動詞(leave, depart, arriveなど)は現在形を使って表す』と書かれていることがあります。スケジュールが決まっているというのが理由ですが、こちらも常に現在形で表現するという意味ではありません。

例えば、arriveを人に使うときに、現在形で書いてしまうと、予言者のような文になってしまいます。

He arrives in 5 minutes.
彼は5分後に到着する。(?)

なので、実際には、場面によってはwillやbe going toを使ったほうが良さそうです。
常に現在形でないといけないということではないので、注意しましょう。

How come he isn’t here yet?
– Take it easy. He will come in 5 minutes.

どうして彼はまだここにいないの?
– 落ち着いてよ。5分後には来ると思うよ。

習慣的な動作とは?

3つ目のパターンですが、もう説明も不要でしょうか・・・。
習慣であれば、昨日も今日も、そしておそらく明日もするルーティンのことですね。文字通り過去・現在・未来形です。

例文を見てみると、その意味がよりクリアになると思います。

My younger brother studies engineering at university.
弟は大学でエンジニアリングを勉強しています。

I usually don’t eat breakfast.
普段は朝食を食べません。

ちなみに、syudyが過去・現在・未来形で使われているので、この場合はmy brotherは大学生であるという意味も持ちます。また、朝食を食べないというのも、今日に限った話ではなく習慣的に食べないという意味も、もう理解していただけますよね。

【注意】状態を表す場合

過去と未来のニュアンスも含めつつ、現在にフォーカスして表現する。
そんな現在形ですが、状態を表す動詞として使う場合はちょっと注意が必要です。なぜなら、文字通り動きを表す動詞と状態を表す動詞では使い方が違うからですね。

なにやら言葉がややこしいですが、例を見ながら考えましょう。ちなみに状態を表す動詞と言えば、be動詞が代表的なものです。

Why are you so angry? Did I do anything wrong with you?
なんでそんなに怒ってるの? 何か悪いことでもした?

be動詞は動詞という名前はついているものの、もともと状態を表す言葉なので、今の状態を表しています。動きを表す言葉ではないため、日本語でいう『です、ます』に該当します。過去・現在・未来形とは本質的にちょっと違う部分がありそうですね。

他にも、動詞だけど意味的に今の状態を表しているものもあります。

Do you know that man over there? He is very cool.
あそこにいる男の人知ってる? かっこいいね。

knowは「知っている」という意味の動詞ですが、「今、知っているところです」のように動作
の途中を切り取って表現できません。『知らない』と『知っている』という2つの状態しか基本的にありません。なので、進行形にすることができない動詞、つまり状態を表す動詞ということですね。

他にもliveやlikeなども、その瞬間を切り取ることはできないので、基本的には現在進行形にはできず、現在形で表します。とはいったものの、knowであれば「知っている」という状態は、記憶喪失にでもならない限りおそらく明日も続くので、未来のイメージを含んでいるという点はありそうですね。

日本語の時制を表す形と比較

ここまでの説明で、英語の時制が難しいと感じる方もいるかもしれません。
そんなときは、大人の最大の武器である論理的思考を生かして、日本語との比較で考えてみましょう。実は日本語のほうがはるかに複雑だと思います。

例えば、食べ放題のビュッフェでたんまりお皿に入れて、さあ食べるぞと意気込んで食べ始めること10分。こんなことを思うかもしれません。

うわ、ちょっと多かったな。食べきれないかも・・・。

これは今目の前にある料理の話をしているのに、形としては過去形を使っています。
もちろん、ちょっと多いな、と言うこともできますが、その場合はニュアンスが変わりますよね。

日本語ネイティブの皆さんは、このニュアンスを説明できるでしょうか。

おそらく、お皿に盛りつけたとき(過去の話)を思い出して話しているので、過去形を使って表現しています。

他にも、こんな例文はどうでしょうか。

明日は友達に会います。3か月ぶりなので、楽しみです。

この場合は、『会う』という動詞にwillやbe going toに相当する『~予定です』を付け加えて、未来の感じを出すこともできますが、なくても問題ありません。

ここでお伝えしたいことは、日本語でも動詞の時制と場面がいつも同じではないということです。ほんの一例ですが、いろいろな時制をいろいろな場面で使っているので、日本語も英語に負けず劣らず複雑なんです。

ということで、英文法をそんなに難しく考えすぎず、【だって、言葉だもの】と思って飲み込むことも、時には必要です。(笑)

まとめ

現在形が持つイメージ、理解できたでしょうか。
現在形と言いながらも、その場面でどんな意図で使われているのかを考えてみる。そんなプロセスが必ず英語の理解度を上げますし、丸暗記からの脱却につながります。

もちろん最低限の暗記は必須ですが、それでもルールには理由があることがわかると、英語の世界も色鮮やかになるかもしれません。何気なく使っている現在形がビビッドになりましたか?
ではまた次回をお楽しみに!