ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
文法を理解することで、英語学習の世界を色鮮やかに。そんなビビッド英文法シリーズです。
今回は文型を取り上げます!
「SVとかSVCとか覚えたけど、意味あるの?」
おそらく誰もがこんな疑問を持つはずです・・・。
少なくとも私は持っていましたし、明光義塾で塾講師をしていたときにも800回くらい質問されました。(笑)
いわゆる5文型というものは高校の最初に学習することが多いですが、そもそも文型が何の役に立つのか。最初に習うからには、やはり学ぶメリットがあります。
そんなことを一緒に考えていきましょう。
目次
5文型の理解~英語の文章は5つだけ!?~
まずは文型に関する知識の確認から始めましょう。
学校では一般的に5文型を習いますが、これは英語の文の要素を見ていくと、実は5つのタイプにわけられるということです。また、文型を理解するためには、結果的に品詞も理解することになります。
5文型の表記は一見すると暗号のようですが、文の中で絶対に必要な要素を基準に考えます。ちなみに助動詞も動詞のセットとして考えましょう。
文型の本音:5文型は無理がある
いきなり5文型の否定ですが、パターンが5つしかないというのは、ちょっと乱暴な分け方です。実際には例外もたくさんあるので、一緒に見ていきましょう。
例えば5文型の考え方では、前置詞のかたまり(前置詞句)は、あくまで情報の補足なので文にとって絶対に必要な要素ではないと考えます。しかし、次のような文はどうでしょうか。
上の文章は2つとも前置詞のかたまり(in Tokyo/at playing soccer)がなければそもそも意味がよくわからない状態になると思います。「彼女は生きている!」「彼は良い!」みたいな文では何を伝えたいのかよくわかりません。
なので、前置詞句のような説明する語句(修飾語)も、場面によっては文に必要な要素でしょ!ということで、7文型とか8文型なんて考え方もあります。ここではその詳しい説明は省略しますが、いずれにしても、5文型にすべてわけるのはちょっと無理があると考える人もいます。そして、私もその一人です。
では、学校で文型を習わなくてもいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、私はそれでも文型は習うべきだと思います。正確には、文を見て●文型!と理解できることがゴールではありません。単語が文の中でどんな要素として使われているか、そして、その使い方を理解することが今後の英語学習で大きな価値があるからです。
文の中の要素とは?文型学習の本質①
日本語もそうですが、ただ単語を羅列したり、似たような意味の言葉に書き換えても、正しい文にならないことがたくさんあります。それは、動詞によって好ましい使い方、すなわち文の中での機能、役割が決まっていることが多いからです。
動詞の正しい使い方を知る
例えば、第4文型のgiveを例に考えてみましょう。
この文章では、giveを使った文章は、文法的に正しいですが、provideの文章は正しくありません。実際にはShe provided me with chocolate.のように、前置詞withを使う必要があります。
もちろんprovideとgiveは厳密には同じ意味ではないですし、書き換えてもニュアンスなどには多少なりとも違いがでますが、ポイントはそこではありません。それぞれの単語(動詞)には好まれる使い方があるということです。
そしてこれらの使い方を理解しようと思ったら、辞書や例文を見ていく必要があります。そうしないと、ただ何となく意味的に使えそうだと思って作っても、実際には文法の観点からも意味の観点からも変な文章になってしまいます。
辞書で見る動詞の使い方
先ほどの例文にあるprovideを辞書で調べていくと、以下のように書いてあります。
皆さんは、この説明にある『間接目的語』や『直接目的語』という言葉を正しく理解できるでしょうか。これがわからなければ、provideの正しい使い方がよくわからないですよね。また、目的語になることができる品詞も決まっています。
私たちが自然と日本語を覚えたように、たくさんの英文に触れていけば、このような使い方は自然と定着していきます。ですが、大多数の方にとってはそれだけの英文に触れることがそもそも難しいですし、効率的ではありません。
辞書や例文を見たりしながら、使い方をルールに当てはめて意識的に覚えていく必要があります。そして、文型の学習を通して、品詞や文の要素を理解できるようになると、今後の学習を効率よく進めることができるんです。
文型学習の本質② 文型がわかれば、意味もわかる
さらに追加で、文型を学ぶメリットをお伝えします。
それは、文型がわかれば、文章の大体の意味がわかるというものです。ここでは、実際に例文を見ながら考えていきましょう。
5文型すべてに使える”get”
超シンプルな単語の”get”ですが、実はすべての文型で使えてしまいます。
そして、それぞれの文型で当然ながら意味は異なります。どんな意味を表しているか、考えてみましょう。
文型によって動詞は意味が決まる
文型がわかれば、ざっくり意味がわかるとお伝えしましたが、改めて説明します。
第1文型:『存在』や『移動』を表す
I got to the station.
駅に着きました。
第2文型:主語の補足(S=C)を表す
He got angry at me.
彼は私に怒りました。(He=angry)
第3文型:行為(V)の対象を表す
She got a present from her boyfriend.
彼女は彼氏からプレゼントをもらいました
第4文型:『あげる』『もらう』の関係をあらwす
I’ll get you a cup of coffee.
コーヒーをお出ししますね。
第5文型:目的語の補足(O=C)を表す
I got my hair cut yesterday.
髪を切ってもらいました。(my hair=cut; 切られた)
このように、すべての文型で使えてしまう”get”でも、文型によって表す意味が決まっているので、意味を取り違えるリスクは少なくなります。
まとめ
- 正しい文が作れるようになる
- 文の意味がつかみやすくなる
改めてまとめると、これが文型を学ぶメリットであり、かつ、高校で一番最初に習う理由だと思います。
正直なところ、中学校までは文のパターンもシンプルですし、辞書で使い方を調べることもあまり必要ありません。なんとなく単語を羅列していれば、どうにかなることも多いです。ですが、高校以上ではそういうわけにはいきません。
このブログを見てくださってる方々は、ビジネスパーソンの方も多くいるはずです。
ビジネスの場面でもシンプルな単語だけですべてが成り立つわけではありません。場面に応じて、正しい文が作れるようになるためには、文型の知識が必ず必要になります。
ぜひ今後に向けて、改めて文型の勉強から始めてみましょう。