ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
今回の記事はTOEFL学習を始めようとしている方に向けた内容です。
TOEFLといえば、海外の大学や大学院への留学を目指すうえでIELTSと並ぶ必須の試験で、避けては通れない試験の一つです。
そろそろ海外も行けるようになってきましたし、留学を視野に入れて、TOEFL学習を始めようとしている皆さんも多いはず。
そこで、こんな悩みはありませんか?
「TOEFLの勉強を始めたいけど、まず何をやればいいの?」
「4技能の学習バランスがわからないんですが・・・」
TOEFLは、TOEICでお馴染みのETSが作成しているものの、TOEICとは全く異なる試験です。
何より、リーディングとリスニングだけではなく、スピーキングとライティングの4技能を測るものです。ちなみにネットによくあるスコアの換算表は笑ってしまうくらい参考にならないので注意です!
そこで、このシリーズではいくつかにわけて、これからTOEFL学習を始める方が迷わないようにロードマップとなるような情報をお伝えしていきます。
留学に向けた準備の参考にしてください!
ちなみにIELTSとTOEFLの比較はこちらで紹介していますので、必読です!
このブログで一番多く読んでいただいている記事です。
目次
【最優先】TOEFLの全体像を丸裸に
まずは敵を知ることから。
学習を開始するうえで、まずはTOEFLという試験の特徴を知らなければ戦略が立てられません。そこで、改めてTOEFLの代表的な特徴を一緒に見ていきましょう。
特徴1.4技能を測る3時間越えの試験
TOEICは2時間の試験ですが、TOEFLはまさかの3時間越え・・・。
非常にタフな試験です。
ちなみに試験はリーディング⇒リスニング⇒10分の休憩⇒スピーキング⇒ライティングの順番で進んでいきます。4技能は『セクション』という言葉を使って表しますので、覚えておきましょう。
実際には全セクションの実施で3時間半を超えます。
というのも、リーディング、あるいはリスニングのどちらかで採点には影響されないダミー問題というものが1セット追加で入っているからです。
このダミー問題、TOEFLを作成しているETSが問題の難易度を測ったり、妥当性を考えていくうえで参考にするためのデータ収集が目的です。
平たく言えば、ETS側の実験的なデータ集めですね。
ただし、ダミー問題がリーディングなのかリスニングにあるのか、それからそれぞれのセクションの中で、どのセットがダミー問題なのかはわかりません。
『ダミー問題 見分け方』などで説明しているサイトもあったりしますが、当てにしないほうがいいでしょう。目の前の問題を全力で解くしかありません。
特徴2.試験は一斉にスタートしない!
なんとTOEFLは先着順に試験が始まっていきます。
「朝早いのが苦手だから、ちょっと遅いほうがラッキー♪」
そんなことを考えた方、実はこれが苦戦するところなんです。
というのも、例えば自分がリスニングセクションに取り組んでいる際に、先に試験を始めていた人はスピーキングをやっているわけです。
想像できるでしょうか?
全力でヘッドホンのリスニングに耳を傾けている中で、隣でバカでかい声で、
「I live in Tokyo.」
と連呼して、音声チェックをしている受験者が何人もいるのです。
ちなみに個室ではなく、ただパーテーション的なもので区切られているだけで、もう吐息や鼻息含め全部丸聞こえです。(笑)
TOEFLはそんな周りの受験者とも戦う必要のある試験なんです。
特徴3.内容は留学生向けに全特化!
『留学のための試験』
これがTOEFLのコンセプトです。
なので、試験内の題材も生物や物理などのサイエンスに関する内容や、アメリカの歴史などが出題されます。他にも、大学内での会話など、とにかく留学中の場面に特化しています。
ビジネス場面に特化しているTOEICとは大きな違いですね。
ちなみに、アカデミックな内容といっても、専門的な知識がないと正解できないかというと、決してそんなことはありません。あくまで英語の試験なので、英語としてしっかり読めれば正解することは可能です。
なぜなら、答えはすべて本文に書いてあるからです。
ですが、背景知識としてTOEFLで頻出のトピックに関してはWikipediaなどで補足しながら進めていけると、取り組むうえで楽になるのは事実です。
こんな頻出トピックのまとめサイトなんかもあるので、参考にしてみてくださいね。
私はとにかく地学に関する話が死ぬほど嫌いです。出題、やめてもらっていいですか?
特徴4.アウトプットでもリスニングが必須!
スピーキングとライティングでも、リスニングスキルやリーディングスキルが要求されます。
「どういうこと?」
と思ってる方も多いはず。しっかり説明します。
TOEFLのスピーキングセクションとライティングセクションはIndependet Taskと、Integrated Taskに分かれます。
Independent Taskとは、文字通り独立型のタスク(課題)です。
スピーキングであれば、「大学生はアルバイトをするべきか」みたいな意見が分かれるテーマに対して意見を話します。純粋にスピーキング能力だけで取り組むので、独立型のタスクと呼ばれています。
それに対して、Integrated Taskとは統合型のタスクであり、他のスキルも試されます。
スピーキングは全部で4タスクあるのですが、内1つだけがIndependent Taskで、残りの3つはIntegrated Taskです。
Integrated Taskの問題は、短い文章を読み(リーディング)、それに関連する内容の会話や講義を聞き(リスニング)、それをまとめて話すというものです。
ライティングも同様に、2問あるうちの1つは同じ形式のIntegrated Taskです。
スピーキング、ライティングと言っておきながら、Integrated Taskの問題数のほうが多く、リスニングの部分で聞き逃してしまうと、そもそも何も話したり書いたりできませんよね。
TOEFLはリスニングをゴリ押ししている試験です。
スピーキング | タスクの種類 |
---|---|
Task 1 | Independent (独立型:スピーキングのみ) |
Task 2 | Integrated (統合型:リーディング+リスニング⇒スピーキング) |
Task 3 | Integrated (統合型:リーディング+リスニング⇒スピーキング) |
Task 4 | Integrated (統合型:リスニング⇒スピーキング) |
ライティング | タスクの種類 |
---|---|
Task 1 | Integrated (統合型:リーディング+リスニング⇒ライティング) |
Task 2 | Independent (独立型:ライティングのみ) |
学習の優先順位を間違えてはいけない
ここまでの説明で察した方もいるかもしれませんが、TOEFLは学習の優先順位を間違えてはいけません。
4技能をバランス良く学習する必要は、最初の段階ではないのです。
とにかく優先すべきはリーディングとリスニング。
これに尽きます。
目指すスコアや現在のスコアにもよりますが、ひとまずリーディングとリスニングで最低20点が取れるまでは、スピーキングとライティングは手をつけないようにしましょう。
投資した学習時間に対して得られるリターン、つまりスコアアップという点で考えると、スピーキングやライティングは、そもそもリーディングとリスニングがある程度できない段階から始めても、非常にコスパが悪いのです。
そして、リーディングとリスニングでとりあえず20点を目指すうえで必要な土台となるもの。
それが単語と文法です。
単語学習のススメ:使う単語帳は一択!
TOEFLは単語勝負です。
使うべき単語帳は1冊のみで問題ありません。鉄板の教材であるTOEFL3800という単語帳を使いましょう。
掲載されている単語はレベル別にRank1~4に分かれています。
ひとまず、Rank1とRank2の単語合わせて約2000単語をとにかく覚えること。これができなければ、そもそもTOEFLの問題は手が出ません。
文法のススメ:高校レベルまでの文法とアウトプット視点
TOEFLではTOEICのような文法問題は出題されません。
知っていて当たり前だからですね。しかし、文法は高校生までで習う内容で十分です。
ただし、理解している=使えるというわけではありません。
そこで、英作文などの問題がのっているものを使うといいですね。いずれライティングの勉強で英作文が必要になるからです。そのときに備えて、使えるレベルにするという観点で学習しましょう。
文法の参考書は自分が進めやすいものを選べば問題ありませんが、もし迷うのであれば、こちらを参考にしてみてください。
一番大切!学習は中長期戦を想定!
TOEFL学習は闇雲に勉強すればスコアが上がるものではありません。
できないことをできるようにする。当たり前ですが、このプロセスが大切です。
とは言ったものの、大体どれくらいの期間勉強すれば成果が出るのか。だれでも出口の見えないトンネルを走り続けるのは避けたいものです。
実はそんなこともある程度はデータから計算できるのをご存知でしょうか?
100時間勉強して、得られるスコアアップは4点から5点程度
大体こんなイメージです。
もちろん現在地のスコアにもよりますし、今までの学習経験などにも大きく影響されます。
しかし、いままでのTOEFL学習者の方のデータや、大手のTOEFL対策をしているアゴスが提供しているデータともおおむね一致しているため、学習計画を立てるうえでは目安にできる数字です。
また、学習は基本的には半年以上必要になると思っておきましょう。
学習計画シミュレーション
【現状スコア:60点 ⇒ 目標スコア:90点】
こんな場合をシミュレーションしてみましょう。
30点アップが必要ですから、必要な学習時間の目安としては、600時間程度になります。(100時間で5点アップとして換算)
これを6か月で達成しようとすると、1か月あたり100時間学習する計算となり、毎週25時間、1日当たりでいうと3時間は学習しないと苦しくなります。
仮に1日の学習時間の確保が2時間程度で、週15時間ぐらいの場合、8か月から10か月くらいの期間でスコア達成できる見込みになります。
このようにして、ある程度計画が立てられることで、留学に向けた準備や仕事、プライベートとのバランスをしっかり確保できるのです。
もちろん投下した学習時間=スコアアップではなく、計画性をもって取り組みましょうという話ですよ!
まず最初にやるべきこと=現在地把握
TOEFL学習を開始しようとしている方、ここまでで読んでどんなお気持ちでしょうか。
「思ったより長期戦になりそうだ・・・(´;ω;`)」
こんなことを思っているかもしれません。
他の英語系の資格試験と比べると、ある程度の学習期間が必要なことは事実です。しかし、計画性をもって進めていくことで、目標スコア達成まで最短距離で進むことができるのです。
誰でも非効率な進め方はしたくないですよね。
そこで、これからTOEFLを学習する皆さんにまずやっていただきたいことがあります。
それは、現在地をスコア化すること。
本試験を受けることが金銭的にも、日程的にも余裕がある方はぜひ一度受けてみましょう。今は円安の影響で30000円以上しますが・・・。
「金銭的に苦しい・・・」
大丈夫です。そんな皆さんの心の声、しっかり聞こえています。
ご存知でしたか?
TOEFLにはETSが出している過去問を使った模擬試験(通称:TPO)があるんです。
スピーキングとライティングの採点は本試験とは異なり、機械採点しかありませんが、本試験の次に正しいレベル感を測れるものです。
何より安い!1回6000円くらいで試せます。
ダミー問題はないので、3時間の試験で、いつでも実施することができます。さらに、受験後すぐに点数もわかっちゃいます。
模擬試験とはいえ、過去問ですから苦しい時間になるのは事実です・・・。
ですが、正しく学習計画を作るうえで、まずは現在地のスコア化は必須ですよ。そんな試験に夢のために今後チャレンジするわけです。ぜひ勇気と少しのお金を出して、試してみましょう。
まとめ
今後進むためのロードマップ、少しイメージできたでしょうか?
長~い戦いですが、だからこそ可能な限り時間をムダにせず、最短距離でスコアを達成しましょう!下のTo doリストを見て、さっそく一歩踏み出してみてくださいね。
次回は具体的なセクションの勉強の進め方をお伝えしていきますので、お楽しみに♪
①現在地をスコア化!TOEFL本試験 or TPOにチャレンジ
②目標スコアと現在地から、達成までの学習期間の目安を把握
(100時間の勉強で5点UPを基準に)
③基礎力の勉強からスタート
(TOEFL3800でRank2まで、文法の抜け漏れ探し)