ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
今回の記事では、TOEFLのリスニング対策を取り上げます。前回の記事では会話に対しての対策を共有しましたので、後編である今回は講義に関しての対策をお伝えしますね。
TOEFLは4技能の中で、リスニングのスキルが一番求められる試験です。
リスニングの勉強でお困りの方、ぜひ最後までご覧ください♪
ちなみに前編をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ!
目次
おさらい ~TOEFLの講義とは?~
TOEFLのリスニングで出題される講義と聞いて、皆さんはどんな内容かご存知でしょうか。
とにかく長い!
まずはこんな印象、だれもが持ちます。名古屋人がとんかつにチューブの味噌をダックダクにかけるくらい当たり前ですから、安心してください。皆さんだけではありません。
講義は1つのトピックで5分から6分くらいありますので、前の記事でも紹介した会話の倍くらいあります。ちなみにTOEICのPart3や4が約1分くらいですので、なんとその5倍!
それだけ聞き続けるというのはやはりタフですよね。
難しい!
大丈夫です。こちらも名古屋人が信号待ちで右折フェイントをかますくらい当たり前なことです。
天体や生物の話、それから歴史の話などなど、多岐にわたって出題されるため、自分にとって聞きやすい内容もあれば、そうでない内容もあります。特にサイエンス全般が嫌いな私にとっては、それはもう地獄です。(笑)
そんな講義の内容に対しての対策ですが、以下の2つの観点から皆さんに対策をお伝えします。
- 英語力&背景知識
- テクニック(メモとり)
英語力を身につけながら、背景知識も理解するために
講義の対策として、英語力そのものも大切ですし、背景知識も大切です。
ちなみにここで言う背景知識とは、講義の内容そのものを指しています。例えば、草食動物と肉食動物の話がテーマだとして、それぞれの特徴が日本語でも理解できないなら、当然英語でも理解できませんよね。
TOEFLでは幅広いアカデミックな内容が出題される以上、やはりある程度の背景知識は必要になります。
ですが、それでも声を大にしてお伝えしたいことがあります。
それは、対策の優先順位を間違えないようにしましょう、ということです。
優先順位は『英語力>背景知識』です。
背景知識を覚えるために、とにかくひたすらWikipediaやアメリカの歴史、サイエンスに関する英語の本を読む必要はありません。
そもそも、TOEFLは英語の試験なので、背景知識がなければ正解できない問題はありません。リスニングの会話の中にすべて答えはあります。だれでも受験することができる英語の試験ですから、当たり前ですよね。学習の優先順位を理解いただいていることを前提ですが、背景知識が内容理解をしやすくすることもまた事実なので、具体的な学習方法を2つお伝えします。
Official GuideやOfficial Testなどの公式教材を使用する
まあ当たり前の内容です。
公式教材に勝るものはありません。ですが、公式教材には日本語訳がありませんので(日本語版のOfficial Guideを除く)、レベル的に苦しい場合は、市販のTOEFL教材で和訳がついているもので大丈夫です。
ここでの学習のポイントは、問題に正解することをゴールにしないということです。前回の会話と同じですね。
というのも、TOEFLのリスニングは先に質問を見ることができません。TOEICのように、答えを探しながら聞く練習をしても、おそらく成果につながらないでしょう。
聞きながら、内容が理解できる。頭の中にイメージが浮かぶ。
内容が理解できた結果、質問にも答えることができる。
これが目指すべきゴール感であり、そのために何度も聞き、スクリプトを活用する。
時にはオーバーラッピングやシャドーイングで声に出す練習をする。これ以外にできる練習はありません。
ただし、英文そのものの意味は分かっても、内容が理解できない場合もあるかもしれません。そのときに始めて、Wikipediaなどで理解できない部分の背景知識だけ補完しましょう。
外部音源を活用する
TOEFLの教材だけで勉強することももちろんできます。
実際に、過去に出題されたトピックと似たようなトピックが出題されるのも事実です。ですが、TOEFLの問題に出てくる英語だけが英語ではありませんし、何よりTOEFLのその先には留学が待っているはず。結果的に、TOEFL以外の題材も使ってリスニング力をアップさせたほうが、すべてにおいてプラスになります。
そこでおすすめの教材が2つあります。
もちろんどちらも完全無料ですのでぜひ使ってみましょう。
TED-Ed ~YouTube登録者1700万人越えの最強学習チャンネル~
TED-EdはTED Talksではないので注意しましょう。
TED Talksは1つの動画が10分以上あるものが多く、内容的にも英語力の強化としてもすばらしい教材ですが、TOEFLに向けた練習という観点では、正直ハードルが高すぎます。
それに対して、TED-Edは文字通り教育系の動画を扱っており、長さも大体5分程度で、比較的ゆっくり話してくれるので、TOEFL練習にはもってこいの題材です。TOEFLの内容よりもユーモアもあり、楽しみながら英語力をしっかり鍛えることができますし、苦手なジャンルの動画を選べば背景知識の学習にもつながります。YouTubeの字幕機能やスピード調整もありがたいですね。
Voice Tube ~英語学習をしている日本人の親友!~
次にご紹介するのがVoice Tubeという英語学習者用の動画まとめサイトのようなものです。TED-Edの動画も一部含んでいます。
Voice Tubeのすばらしいところは、徹底した日本人の英語学習者に向けたサポートがあるところです。もうこれが無料だなんて、本当に信じられない時代です。
上の画像からもわかる通り、TED-Ed同様に様々なジャンルの動画がまとめられています。
そして、各ジャンルのすべての動画に対して、スクリプト、和訳がついています。しかも、スクリプト内の単語をクリックすると調べられる辞書機能もあります。
さらにさらに、聞き取れなかったセンテンスを繰り返し聞けるように、センテンスごとにリピート再生することもできてしまいますので、ふわっとした理解の箇所を徹底的に潰しこめる機能も最高です。
TOEFL教材と外部音源のバランス
問題の質に関しては右に出るものなしの公式教材と、英語学習者の最強の見方である外部音源ですが、どんな配分で時間を割いていけば気になりますよね。
TOEFLの題材6割、外部音源の使用4割を1つの基準にしてください。
もちろん、実際に試験が近づいてきたタイミングで、本番の2週間前くらいならTOEFLの題材に振り切ったほうが試験慣れという意味でメリットが大きいです。言わずもがな、問題を解く練習も必要ですね。しかし、普段の学習では、そもそものリスニング力の強化と背景知識の習得を目的に、6:4くらいの割合で進めていけるといいですね。
ちなみに、1つの音源は5分程度ですが、しっかり内容を理解してスクリプトを使い倒すと1時間以上使うはずです。むしろ、それくらい時間を使わなかったら、なんとなくの理解で進めていることになります。特に外部音源は映像もありますので、それでわかった気になってしまっている可能性もあります。しっかり理解しようとして、スクリプトも活用していくと必ずわからない単語、想像とは違う発音で読まれる単語や熟語があります。
あくまで、聞きながらストーリーが頭に浮かんでくる状態がゴールですよ。英語を理解するのは当たり前で、内容をしっかり理解することがゴールです。
リスニングのメモの極意
メモの極意と言っておきながら、基本的にはメモは取らないというのが私の推奨です。
「5分間の内容を覚えられない!」と思う方もいると思いますが、1つ質問です。
実際に回答するときに、そのメモって見返していますか?
私が今まで関わった学習者の方の99%は「No!」と答えています。
皆さんも大半はそうではないでしょうか?仮にそのメモを見返したとしても、自分で書いたメモなのに「ちょっと何言ってるかわからない」というサンドイッチマン状態になるはず。
そもそも皆さんはドラマでも映画でも、1時間や2時間のストーリーをメモを取らずとも理解できていませんか?
それと比べると、5分の講義が果たして本当に長すぎて理解できない内容でしょうか?
結局のところ、長くて覚えられないというのは、そもそも内容的に理解できていないという状態であることがほとんどです。ドラマや映画を見ながら、ストーリーをメモする方はいないはず。なので、まずは対策としては、すでに説明した英語力強化の練習を重ねながら、背景知識を身につけていく練習を地道にこなすしかありません。メモの対策はない。これが私の答えです。
それでも、中にはどうしてもメモを取りたい方もいるかもしれません。
そんな方にできるアドバイスとしては、細かい数字や名前ではなく、メイントピックだけをメモすること、それから自分がわかる略語や記号などでとにかくスピード重視でメモをすること。メモのポイントはこれくらいです。
決してメモが悪いということではないのですが、メモをとるデメリットもぜひ理解しておくといいですね。
聞きながらメモをとるという行為は、2つのことを同時にやっているので、必然的に聞くことに全集中で取り組むことができません。
これは、私たちの脳は認知リソースという脳のエネルギーのキャパシティーが決まっているからです。100%集中して聞きながらメモはできませんので、80%の集中で聞き、20%でメモをとる、というイメージですね。結果的に、リスニングのクオリティが下がってしまいます。
まとめ
今回の内容、参考になったでしょうか?
TOEFLという試験は、基本的に詳細に関してツッコまれ鵜試験ではなく、あくまで全体像の理解が問われる傾向が強い試験です。実はここがIELTSとの大きな違いでもあります。
だからこそ、問題も先に読めませんし、徹底した内容理解が問われます。でも、実際の会話において、先に質問が決まっていることなんてまずありえませんよね。なので、TOEFLは英語力の向上としても、それからその先に留学生活でも必ず役に立つ試験だと思います。
『内容が理解できた結果、答えられる』
必ずこの状態を目指しましょう。背景知識に惑わされないように。
あくまでTOEFLは英語の試験ですので、日本で義務教育をしっかり受けてきた私たちにとっては、おそらく小学校や中学校で学んだような内容ばかりです。
対策頑張りましょう!ではまた次回をお楽しみに。