【第二言語習得論】英語のセンス、ありますか?

この記事はこんな方におススメ!
  • 本当に英語が話せるようになるのか不安な方
  • 英語学習の仕組みを科学的に理解したい方

ご覧いただきありがとうございます。英語教育者の永田勝也です。
この記事では前回に引き続き、日本人としてどのように英語と向き合っていくかという観点で第二言語習得論を中心に、私の経験も絡めたりしながらお伝えしていきます。

今回は英語を含む外国語学習の適性、つまりセンスについて考えてみましょう。
皆さんは英語のセンス、ありますか? そもそも英語のセンスとは・・・?

「もともと勉強が苦手だから、どうせ英語もできないでしょ・・・」

そんなふうに思っている方、ご安心ください。この記事を読んで、英語学習で一歩踏み出すきっかけにしてくださいね。では始めましょう!

ちなみに前回の記事をまだご覧になっていない方はこちらからどうぞ♪

英語が話せる=頭がいい!?

「●●さんって英語ペラペラなんだよ。」
「へー、頭いいんだね。」

こんな会話を聞いたことがありませんか。
頭がよくないと、英語が話せない。あるいは、英語が話せれば、頭が良いということ。
果たしてそれは本当でしょうか・・・。

頭の良さを測る基準としておなじみのIQ(知能指数)テストとの関係を考えてみましょう。これは結論を先にお伝えすると、ある領域においてはIQが英語学習に有利に働く場合があるということがわかっています。
それは、メタ言語能力と呼ばれるものです。

メタ言語能力とは?

何やらむずかしい言葉がでてきましたが、安心してください。
言葉としては初めて聞いたものかもしれませんが、内容は非常にシンプルです。要は言葉の使い方、ルールなどを意識して考えられる能力のことを指します。
例を見ながら考えていきましょう。

(例1)Can you tell me how to get to Tokyo station?

(例2)I was wondering if you could tell me how to get to Tokyo station.

この2つの例文を見たとき、東京駅への行き方を聞いてるということはわかりますよね。では、どちらのほうがより丁寧な印象を受けるでしょうか?

なんとなく例2のほうが丁寧な感じがしませんか?
そう感じている方、なぜ例2のほうが丁寧な感じがするのか説明できますか?

ここで、こんな風に考えた方は非常に鋭い方ですね。

過去進行形と組みあわせることで、「〇〇してもらえたら、なんてちょっと思ったんですが」的なやわらか~い依頼のニュアンスが英語でも出せるのでは?

少なくとも、そんな規則があるのでは?と分析的な視点で考えることができますよね。
細かく考えず、規則や意味を丸暗記できるのも一つのスキルですが、そこに対して「Why?」や「How?」で考えられるのも一つのスキルなんです。こんな能力をメタ言語能力といいます。

IQが高い方は、文法や表現の規則に納得感を持って学習できそうですね。
そういえば、高校時代にもやたら文法に詳しい理系の秀才がいた気がします。(笑)

外国語学習適性テスト(MLAT)とは?

実はそんな外国語学習の適性を測るテストが存在します。正式名称はModern Language Aptitude Testと言います。
このテストでは、以下の4つの指標から外国語学習の適性を測ります。

  1. 音に関する俊敏さ
  2. 文法に関する敏感さ
  3. 意味と言語形式のパターンを見出す能力
  4. 丸暗記する能力

勘の良い方はすでに気づいているかもしれませんが、4つの能力はメタ言語能力とも関わりが非常に強そうですね。上の表現の例のように、文脈から機能や法則を考えることができれば、その表現(東京駅の例文であれば丁寧な依頼の仕方)を別の場面で使ってみることもできるかもしれません。また、4つのうちで部分的に優れている方も当然いると思います

ちなみに④の丸暗記する能力と関連しますが、「ワーキングメモリ(短期記憶)」が外国語学習の成功を決めるキーワードになると主張する学者もいます。
ワーキングメモリとは、一度に処理できる情報量のことを意味しているのですが、人によって差があるというのが前提です。

ワーキングメモリが大きい方、つまり一度に処理できる情報が多い方の場合は、例えば文法に意識を向けながら発音にも意識を向けて、さらに相手の反応も見ながら話すなんてマルチタスクもこなせるかもしれません。

結論:テストだけでは能力は測れない!

「結局IQが高くないと、英語学習は不利なんじゃ・・・」

安心してください。嬉しいことに、これは正しくありません。
正確には、IQの高さや適性テストの4項目の能力の高さが有利に働く場面も確かにありますが、その限りではないということですね。

そもそも外国語学習適性テストは教室環境での学習をターゲットにしています。なので、学校のテストや入試問題には確かに有利な感じはしますが、英語はそれだけではありませんよね。

会話力という点に関しては必ずしもIQの高さと英語力が関係あるとは言えない結果がでています。もちろん関係がある部分も一部あるでしょうが、コミュニケーションで使うという点においては、IQや適性テストでは測れない部分も多くあるのです。

これは性格的な要因やマインドセット、学習環境などが大きく影響するからです。こちらはまた別記事で紹介しますが、いずれにしても学生時代の成績や暗記が苦手だからといって、英語ができない!と思う必要はありません。
だれでも英語が話せるようになる可能性を秘めているということです。

まとめ

英語とIQの高さ、必ずしも関係があるわけではないという結果でした。
どれだけIQが高い方でも、英会話で冷や汗をダラダラかきながら、声を震わせ英語を話す。伝わったときは全力で心の中でガッツポーズをする。(笑)

そんな経験を私を含め、IQの高さに関わらず、英語を勉強している全学習者が経験していると思います。もちろん私は今でも苦しむことがたくさんありますが・・・。
それはある意味で当たり前なことで、そこで「英語のセンスがないのかも・・・」と思って学習を諦めてしまってはもったいないですよ。

また、仮に学校環境で英語の成績が悪かったとしても、学校環境以外での学習で英語力が光る可能性も大いにあります。教室でテキストを見ながら学習することが向いている方もいれば、YouTubeなどの映像や音声で学ぶほうが得意な方もいます。
自分にとっての学習の最適解を見つけに行くこと。そのための第二言語習得論だと思います。
ではまた次回をお楽しみに!